2008年09月26日

The Problem of the Secret Patient

  by Edward D. Hoch (May 2008)

0805EQMM.jpg ホーソーン先生のもとにFBIの男が訪ねてきた。ヨーロッパから内密に運び込んだ患者を診てほしいというのだ。ドイツ系の偽名から、ヒトラーの部下だったのではないかと噂が飛び交う。

 謎の患者はホーソンに心を開き、病院からの移送の前日、ここまでFBIに護送されてきた経緯を語るが、出発を前に異変が……。

 病室の前にはFBIが見張りに立っているというある種の密室状態で事件が起こる。ホーソーン先生は事件の謎を解き明かすが、真実はその裏に隠されていた。先生が下した決断は、戦時中という特殊な状況のなかでこそのものだろう。
ニックネーム マリポサ at 15:57| EQMM

2008年02月22日

『ふしぎな動物モオ』

 ホセ・マリア・プラサ 著  坂東俊枝・吉村有理訳

ふしぎな動物モオ 「ぼく、世界じゅうを冒険するんだ」
 モオが生まれた瞬間に思ったのがそれでした。ぐんぐんと成長したモオは、まだ世界のことをなにも知らないのに、おとうさんとおかあさんに、世界を旅すると宣言して家を出ていきました。
 ホームシックになりながらも、いろんな動物と出会い、少しずつ学んでいくモオ。ですが、必ずされる質問があり、モオはその答えがどうしてもわかりませんでした。「きみはいったい、なんていう動物なの?」冒険を終えて家に戻ってきたモオは、自分がなんという動物かをやっと知ることになります。その名はなんと……。

 児童書ですが、「自分はいったい何者なのか」というテーマは、大人心のほうをくすぐるようですかわいい 巻末にはモオの自画像を描くページがあり、想像力豊かな子供たちは大人が考えもつかない絵を描くのだろう――と思いきや、訳者のお話によると、以外に既成概念にとらわれた絵が多かったということでしたふらふら
ニックネーム マリポサ at 00:00| ミステリ以外

2008年01月31日

『殺しはノンカロリー』

 コリン・ホルト・ソーヤー 著  中村有希 訳

殺しはノンカロリー 南カリフォルニアの高級老人ホーム〈海の上のカムデン〉のおばあちゃまたちが素人探偵として活躍するシリーズの第5弾。

 主人公アンジェラが、〈カムデン〉のバザーがきっかけで知り合った友人ドロシーは、美容スパの経営者だ。ある日、そのドロシーがアンジェラにスパを救ってほしいを泣きついてきた。なんでも、スパで殺人事件がおきてキャンセルが殺到する有様なので、無能そうな警察に代わって事件を解決してほしいというのだ。友人の必死の頼みを断ることもできず、関係者を探るためスパにいっしょに滞在してほしいと親友のキャレドニアを説き伏せる。かくて現場に乗り込んでいったふたりだったが、客を装う以上、ダイエットメニューの運動は避けられず……。

 今回は〈カムデン〉の外が舞台ということで、他のおじいちゃま、おばあちゃまが登場しなかったのが少し残念バッド(下向き矢印) でも、スパの滞在客のキャラはバラエティーに飛んでいてさすが。そして何より、アンジェラとキャレドニアというキャラクターのコンビは最強ですexclamation
ニックネーム マリポサ at 00:00| 海外ミステリ

2006年09月15日

死ぬまでお買い物

エレイン・ヴィエッツ著  中村有希訳

死ぬまでお買い物 夫の元を去り、南フロリダに移り住んだヘレン。夫に見つけられたくないがために、銀行口座を作らず、クレジットカードも使わず、ひたすら現金生活を続ける。そんな事情を抱えたヘレンにまともな職が見つかるはずもなく――やっと見つけた高級ブティックで働き始めたのはよかったが、店長は陰でなにやら怪しげな商売をしているようだし、常連客のカレはマフィアがらみ。そのうちにとうとうビスケーン湾に死体が浮かんで……。


 店長から常連客まで、顔や体をいじりまくった整形美人ばかり(もちろんヘレンは別)という、異様な世界が舞台となっている。主人公のヘレンはまともなほうだが、彼女が住むアパートの住人も変わった面々ばかりで、「南フロリダって、現実でもこんなに変なの?」とつい思ってしまった(^^;)。そんな一風変わった、いやかなり変わった設定だったが、そんな中で悪戦苦闘する主人公がほほえましく、いつの間にか応援にしていた。

 本書は〈デッドエンド・ジョブ・ミステリ〉シリーズの第1作。次作では、ヘレンはこのブティックではもう働けないと思うので、次はどんな崖っぷちの仕事に就くのか楽しみだハートたち(複数ハート)
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2006年09月10日

お騒がせなクリスマス

ジャネット・イヴァノヴィッチ 著  細美遥子 訳

お騒がせなクリスマス ステファニーの部屋にいつの間にか存在していた、謎の男ディーゼル。バウンティーハンターという職業柄(?)、これまでにも部屋の主に許可なく勝手に入ってくる男がいなかったわけではない。例えば、同僚のレンジャーの前では、どんな錠も意味をなさない。だが、このディーゼルという男はそれとはちょっと違う気がする。なんというかこう、存在感が希薄というか……でも、実際に目の前でしゃべっているし、さわることもできるのだ。この男はいったい何者?

 町中にイルミネーションが輝き、お祭ムード一色のこの時期に、ディーゼルはいったい何のためにステファニーの前に現れたのか? クリスマス・シーズンの特別編。

 今回はクリスマス特別編ということで、少々ファンタジーの要素が入っています。とはいえ、やはり、巻き込まれ、振り回され、爆発炎上する、ステファニーの人生は健在です。ディーゼルは最後に「次のときまで」といっていますが、特別編が定期的に出されるということかしら……?
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2006年07月31日

『待ち望まれた死体』

 キャサリン・ホール・ペイジ 著  沢 万里子 訳

 ニューヨークの都会からニューイングランドの片田舎に嫁いできたフェイス。牧師の夫、トムはやさしい人だし、5か月の息子ベンジャミンは愛らしく、幸せいっぱいで不満などあるはずもないのだが……と考えながら散歩をしていたら、死体に出くわした。しかも、ナイフで刺されて殺害されていたのは、トムの教会の教区民だった。持ち前の好奇心が頭をもたげたフェイスは、幸か不幸か、もう退屈だなどとは言っていられなくなったのだった。

 アガサ賞最優秀処女長篇賞を受賞した、フェイス・フェアチャイルド・シリーズの第1作。ニューヨークで仕出し料理の店を開いて大当たりしたというフェイスは大の料理好き。ベンジャミンの手が離れたらまたお店を始めたいと考えている、エネルギッシュで元気な、人が大好き(好奇心旺盛わーい(嬉しい顔))な女性だ。シリーズのヒロインとしてとても魅力的。本国では15冊まで出ており、最新の "The Body in the Snowdrift" は今年のアガサ賞最優秀長篇賞に輝いた。翻訳が待ち遠しい揺れるハート

☆著者のホームページ http://www.katherine-hall-page.org/index.html
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2006年05月08日

MURDER OF A SWEET OLD LADY

by Denise Swanson from Signet

Aunt Dimity's Death 故郷のスカンブル・リバーで学校のカウンセラーをしているスカイ。母方の祖母が余命わずかと言われ、家族の歴史を聞きに放課後通っていた。ところが、その日祖母の家には家政婦の姿がなく、家の中を探すと、祖母がベッドでなくなっていた。自然死に思われたが、スカイの要望で調べてみると、死因は薬物だった。なぜ、老い先短い祖母が殺されなければならなかったのか? 大好きなお祖母ちゃんを殺した犯人を見つけるため、スカイは脅しにも屈せず、親戚からのブーイングにもめげず、ひたすら真犯人に迫る。

 スカンブル・リバー・ミステリ・シリーズの第2作。前回は弟が容疑者扱いされたため、真犯人探しに奔走したが、今回は動機から考えれば、一族の中に犯人がいる可能性もあり、デリケートな面があった。また、1作目でつきあうことになったボーイフレンドとはギクシャクしだし、逆に反発していた警察署長との距離が縮まったような……。次作の展開が楽しみだるんるん
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2006年04月30日

IMMORAL

by Brian Freeman from St. Martin's Minotaur

Aunt Dimity's Death 女子高校生が行方不明になった。ボーイフレンドと家出したのだろうとか、変質者に襲われたのではないかと、いろいろな憶測が飛ぶなか、担当刑事ストライドは相棒のマギーとともに聞き込みをするが、事件の全容はようとしてつかめなかった。だが、少女の遺留品が見つかったのをきっかけに、養父が殺害犯人として逮捕される。状況証拠だけで裁判にかけられたのだが……。

 前半は警察の捜査、中盤は裁判シーン、後半は刑事のプライベートをからめて、と一つの作品のなかで大きくカラーが変わるのは珍しい。裁判シーン終盤からのどんでん返しがおもしろかった。MWA賞処女長篇賞のノミネート作品。
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2006年04月20日

ウエディング・プランナーは眠れない

ローラ・ダラム 著  上條ひろみ 訳

ウエディング・プランナーは眠れない ウエディング・プランナーのアナベルは、手がけた結婚式の最中に、花嫁の母親が死んでいるのを発見した。式は中止となり、のちに死因が薬物とわかり、料理を出した友人が疑われた。友人の容疑を晴らすため、アナベルは素人探偵を買って出た。

 人生に(たぶん)一度きりの結婚式。当事者、とくに花嫁は何が何でも完璧を求める。そんな花嫁の希望から愚痴までを聞いて、式を形にしていくのがウエディング・プランナー、アナベルの仕事だ。作品を読んでいるだけで、息つく暇もない様子が伝わってくる(^^;) そんな人の本音が見えてしまう状況だからこそ起こる人間模様や事件が、業界の裏話を織り交ぜつつ、ユーモアたっぷりに描かれている。
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2006年04月07日

AUNT DIMITY'S DEATH

by Nancy Atherton from Penguin Books

Aunt Dimity's Death 二人三脚で生きてきた母をなくし天涯孤独の身となったロリのもとに、「ディミティおばさんの遺産を受け取られたし」という手紙が弁護士事務所から届いた。ロリが驚いたのは、ディミティおばさんが“亡くなった”ことではなく、“生きていた”という事実だった。ロリにとってディミティおばさんは、さまざまなエピソードを知っているごく身近な存在だった。ただし、幼いころ母が寝る前に語ってくれるお話の中だけの架空の人物だと思っていたのだ。

 弁護士事務所を訪れたロリは、イギリスに渡りおばさんの家に滞在するように言われる。その家で、遺言に書かれているお題をクリアしていかなければならないのだ。ところが、おばさんの家に到着した直後から、不思議なことが起こり始める。それはディミティおばさんの霊の仕業なのか……。

 シリーズ第1作。お金に困っているロリのところに、家族のようによく知ってはいるが、まさか実在するとは思ってもいなかった人の遺産を受け取れるという話が舞い込んだ。しかし、それには、遺言に書かれたいくつかの要求にパスしていかなければならなかった。その要求を弁護士のビルとともに遂行していくうちに、おばさんの過去にまつわるミステリを解いていく冒険をすることになる――という、殺人も悪人もいっさい登場しないミステリ。大人のおとぎばなしのような心に優しい物語です(^^)
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