2009年06月08日

怪笑小説

  東野圭吾 著

カラフル まわりの人間がみな動物に見えてしまう中学生の話や、住宅の評価額を下げないために、団地で見つかった死体を別の団地に捨てにいく話など、ブラックなユーモアで綴る短編集。

 いちばん気に入ったのは、比較的ブラック度の低い(^^;)『超たぬき理論』。都会育ちの少年が田舎家の屋根から小動物が飛び立つのを見た経験から、大人になって「タヌキは空を飛ぶ→UFOつまり未確認飛行物体とは文福茶続に化けたタヌキである」という説を打ち出す。読者はみな最初から小動物の正体に気づくはずだが、主人公の男の思い込みの激しさや、ああ言えばこう言う雄弁さには感心してしまうあせあせ(飛び散る汗) さすが理系の著者ですよね、理論の構築がすごい! けど、その方向が笑えるところが好きだなあムード
ニックネーム マリポサ at 17:48| Comment(0) | 国内ミステリ

2009年06月06日

孔雀狂想曲

  北森鴻 著

カラフル 東京の下町にひっそりとある骨董屋「雅蘭堂」を舞台にしたミステリの短編連作集。それぞれ、骨董に関することがミステリのネタになっていて、店主の越名集治が知識と洞察力で謎を解いていく。

 最初の物語で万引き未遂をはたらいた女子高生の安積が、2作目からは押しかけアルバイターとして登場する。憎まれ口をたたきあう越名と安積だが、その息の合った掛け合いがおもしろい。

 骨董や骨董業界についてはまったく知識がないため、知らないことばかりだったが、わかりやすく書かれているので苦にならなかった。未知の世界を覗けて、ちょっと得した気分だ。ぴかぴか(新しい)
ニックネーム マリポサ at 17:49| Comment(0) | 国内ミステリ

『カラフル』

カラフル

 ここ何年か、本はオンライン・ショッピング中心だったが、先日、久しぶりに書店をのぞいてみたら、以前に児童書として読んだ『カラフル』という作品が文庫になって、しかも大人向け書籍の欄に並んでいたのでびっくりした。主人公は子供なのだが、たしかに大人が読んでも考えさせられる内容だったという記憶がある。ちょっとお薦めるんるん

『カラフル』の過去記事
ニックネーム マリポサ at 17:19| Comment(0) | 日記

A Waste of Death

by Donald Olson [EQMM July 2009]

 バイオレットは凶器のマレットを手に、上司オードリーの死体を見下ろしていた。これで彼女の夫エドワードは自由の身だとほくそ笑み、死体の始末をする。庭に埋め、彼女の車を空港の駐車場に置く。

 失踪した妻を心配し、エドワードは警察に連絡する。バイオレットは訳知り顔でエドワードが心配だからと家に泊まりこむが、彼の態度はそっけなかった。業を煮やしたバイオレットは二人で過ごした夜のことに言い及ぶが、一夜の過ちだったとエドワードは謝る。翌日、若い男が訪れて……。

 しょっぱなに犯人が登場する『刑事コロンボ』形式なのね、と思っていたら、後半に二転三転し、結局あの人なのか〜〜!!という感じでした。おもしろかったです黒ハート
ニックネーム マリポサ at 11:51| Comment(0) | EQMM

2009年05月25日

What You Inherit From Your Fathers

by Andrea C. Busch [EQMM July 2009]

 隣の家の庭がどんどん破壊されていく。その状況は家主が変わっても、やはり同じだった。それはハンス=ディーターが相続するはずだった家、“彼の”庭だった。なのに今も、隣の家主は必要以上に木を刈り込んで台無しにしている。

 一方で、隣家ではなぜか家主が家のなかで事故死するということが相次いでいる。そのたびに家は売りに出された。とうとう呪われているんじゃないかと噂がたち、家の価格はぐんと下がり……

 最初からそうくるだろうって感じだったけど、最後に黒幕の存在が明かされるとはexclamation×2 著者はドイツ人の作家さんで、本国では著名なアンソロジストでもあったそうだが、残念なことに去年、突然亡くなられたそうだ。
ニックネーム マリポサ at 14:20| Comment(0) | EQMM

2009年05月14日

Dummy

by Brian Muir [EQMM May 2009]

 ストッケルは上司の刑事とともに、女性が惨殺された犯行現場で目撃者の証言を聞いていた。証言しているのは、犯人と思われる男の母親で、被害者の女と息子の馴れ初めから犯行にいたるまでの状況をべらべらとしゃべりまくる。その証言内容もさることながら、それに対するストッケルの反応がどこか妙だ。そのからくりが、最後の最後に明かされる。

 ああ、騙された、っていうストーリー。タイトルの "dummy" という単語の意味がわかっていたら、もっと楽しめたのだろうけれど。いや、そうしたら、気づかなかった自分にもっと腹が立ったかも(^^;)。なんとなく、EQMM好みのストーリーという気がするかわいい
ニックネーム マリポサ at 13:03| EQMM

2009年05月13日

A Long-Cherished Dream

by Carla Vermaat [EQMM June 2009]

 庭付きのアパートに妻と移り住んだニコは、長年の夢だった花壇造りにとりかかった。だが、土を掘り返していると人間の頭蓋骨を見つけてしまった。これを公けにすると長年の夢をかなえられなくなると思い、前の住人を知る近所の老婦人を訪ねて話を聞く。妻に怪しまれないために、また土を掘りだすと、今度は別の部分の骨とともに小さな透明な石が見つかり……。

 このお話もなんだかブラックふらふら 結末は何となく予想できたけれど……。著者はオランダ人作家で、本作は英語に翻訳されたもの。あまりブラックなのは好みでないけれど、この作品には脱力感があるというか、あまり緊迫していなくて、ブラックな一方でほのぼのしているような憎めないところがあるので、この著者のほかの作品も読んでみたいるんるん
ニックネーム マリポサ at 17:10| EQMM

2009年04月23日

Nate Devlin's Money

by Martin Meyers [EQMM June 2009]

 おしゃれに気を遣い、几帳面で、ジンクスを重んじるギャンブラー、ネイト・デヴリン。いつものように元手と、たかってくる奴に恵んでやる金を持って、まずは酒を飲みに出かけた。なじみのスナックで飲んでいると、隣に若い男がすわり、ねだってきたのでおごってやった。が、ポケットに手をやると、入れてきたはずの金がない。トイレや電話ボックスなど、立っていった先を捜してみるがない。

 隣の若者が取ったに違いないと思い、店を出て行方を捜すと、そいつは賭けで大勝ちしていた。怒りが爆発したネイトは――

 かなりブラックなお話でした……。ちょっと好みではなかったかもあせあせ(飛び散る汗)
ニックネーム マリポサ at 16:00| EQMM

2009年04月22日

Suitcase and Slow Time

by Dave Raines [EQMM June 2009]

 空港の手荷物回収所でベンがベルトコンベアから手荷物を取ると、そのスーツケースは爆発した。ふつうなら一瞬で死ぬところだが、その瞬間、時の流れがゆっくりになった。だが、そのような経験は前にも一度あったため驚くこともなく、判事であるベンは死ぬまでのわずかな時間を正義の追及にあてた。そして、犯人らしき男を発見したベンがとった行動は――

 ほんの一瞬のあいだの主人公の思考の流れを描写した、3ページの短いストーリー。著者紹介によると、これがEQMMのデビュー作で、活字になったのは2作目だという。将来が楽しみな作家さんだわーい(嬉しい顔)
ニックネーム マリポサ at 17:12| EQMM

2009年04月21日

The Trombone Player

by Meg Chittenden [EQMM June 2009]

 主人公ハルはトランペット奏者だったが、若いころに指を怪我したのをきっかけにトロンボーンに転向した。60代となったいま、ピンチヒッターとしてのみジャズバンドに参加させてもらっていた。推理小説家である友人の「メンバーの誰かが死ねば……」という言葉が頭から離れず、ある決心を胸にメンバーの家を訪れるが、事態は予想外の展開を見せ――

 結局は手を汚していないのに、最後の2行で語られるハルの考えは、なんとも執念深いというか、それほど音楽を愛しているのか、ふつうじゃちょっと思いつかないかもふらふら
ニックネーム マリポサ at 19:18| EQMM