デボラ・ノットはノースカロライナ州コルトン郡で弁護士をしているが、思うところあって地方裁判所の判事に立候補した。その忙しいさなかに、子供のころベビーシッターをしていたことのあるゲイルが訪ねてきて、18年前に母を殺した犯人を見つけてほしという。しぶしぶ引き受けたデボラだったが、それが新たな殺人の引き金になろうとは、そのときは思いもしなかった……。
ゲイルは赤ん坊のとき母親と共に行方不明になり、3日後に発見されたとき、母親は射殺されていた。結局、犯人は見つからなかった。デボラは忙しい選挙戦の合間を縫って、当時の捜査官や関係者に話を聞いていく。解決の糸口さえ見つけられずにいる矢先、ゲイルたち家族の隣に住んでいたマイケルが射殺体で見つかる。恋人と激しい口論をしていたため、痴情のもつれが原因かと思われたが……。
MWA賞、アンソニー賞、アガサ賞、マカヴィティ賞を総なめした作品だけあって、さすがに読み応えがあった。話の筋もさることながら、ストーリーのあちこちからにじみ出る南部の雰囲気はたまらなく魅力的だった。タラに模した建物が出てきたり、大掛かりなガーデン・パーティーが開かれたり。物理的なものだけでなく、女性の地位とか、黒人差別とか、同性愛者などへの南部人独特の意識と、主人公を代表とする現代人の意識とのずれが愛情を持って描かれているので、ほほえましくさえあった。なかでも、南部人を象徴する登場人物であり、題名にもなっている、密造酒人だったデボラの父の存在はインパクトが強かった。脱税で捕まり、服役した過去を持ち、足を洗った今でも地元のドン的な存在なのだ。この父娘は似ているがゆえにぶつかり合うのだが、根底では強い信頼と愛情で結ばれており、そんな二人の会話の場面が一番印象に残った。
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