2008年01月31日

『殺しはノンカロリー』

 コリン・ホルト・ソーヤー 著  中村有希 訳

殺しはノンカロリー 南カリフォルニアの高級老人ホーム〈海の上のカムデン〉のおばあちゃまたちが素人探偵として活躍するシリーズの第5弾。

 主人公アンジェラが、〈カムデン〉のバザーがきっかけで知り合った友人ドロシーは、美容スパの経営者だ。ある日、そのドロシーがアンジェラにスパを救ってほしいを泣きついてきた。なんでも、スパで殺人事件がおきてキャンセルが殺到する有様なので、無能そうな警察に代わって事件を解決してほしいというのだ。友人の必死の頼みを断ることもできず、関係者を探るためスパにいっしょに滞在してほしいと親友のキャレドニアを説き伏せる。かくて現場に乗り込んでいったふたりだったが、客を装う以上、ダイエットメニューの運動は避けられず……。

 今回は〈カムデン〉の外が舞台ということで、他のおじいちゃま、おばあちゃまが登場しなかったのが少し残念バッド(下向き矢印) でも、スパの滞在客のキャラはバラエティーに飛んでいてさすが。そして何より、アンジェラとキャレドニアというキャラクターのコンビは最強ですexclamation
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2006年09月15日

死ぬまでお買い物

エレイン・ヴィエッツ著  中村有希訳

死ぬまでお買い物 夫の元を去り、南フロリダに移り住んだヘレン。夫に見つけられたくないがために、銀行口座を作らず、クレジットカードも使わず、ひたすら現金生活を続ける。そんな事情を抱えたヘレンにまともな職が見つかるはずもなく――やっと見つけた高級ブティックで働き始めたのはよかったが、店長は陰でなにやら怪しげな商売をしているようだし、常連客のカレはマフィアがらみ。そのうちにとうとうビスケーン湾に死体が浮かんで……。


 店長から常連客まで、顔や体をいじりまくった整形美人ばかり(もちろんヘレンは別)という、異様な世界が舞台となっている。主人公のヘレンはまともなほうだが、彼女が住むアパートの住人も変わった面々ばかりで、「南フロリダって、現実でもこんなに変なの?」とつい思ってしまった(^^;)。そんな一風変わった、いやかなり変わった設定だったが、そんな中で悪戦苦闘する主人公がほほえましく、いつの間にか応援にしていた。

 本書は〈デッドエンド・ジョブ・ミステリ〉シリーズの第1作。次作では、ヘレンはこのブティックではもう働けないと思うので、次はどんな崖っぷちの仕事に就くのか楽しみだハートたち(複数ハート)
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2006年09月10日

お騒がせなクリスマス

ジャネット・イヴァノヴィッチ 著  細美遥子 訳

お騒がせなクリスマス ステファニーの部屋にいつの間にか存在していた、謎の男ディーゼル。バウンティーハンターという職業柄(?)、これまでにも部屋の主に許可なく勝手に入ってくる男がいなかったわけではない。例えば、同僚のレンジャーの前では、どんな錠も意味をなさない。だが、このディーゼルという男はそれとはちょっと違う気がする。なんというかこう、存在感が希薄というか……でも、実際に目の前でしゃべっているし、さわることもできるのだ。この男はいったい何者?

 町中にイルミネーションが輝き、お祭ムード一色のこの時期に、ディーゼルはいったい何のためにステファニーの前に現れたのか? クリスマス・シーズンの特別編。

 今回はクリスマス特別編ということで、少々ファンタジーの要素が入っています。とはいえ、やはり、巻き込まれ、振り回され、爆発炎上する、ステファニーの人生は健在です。ディーゼルは最後に「次のときまで」といっていますが、特別編が定期的に出されるということかしら……?
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2006年07月31日

『待ち望まれた死体』

 キャサリン・ホール・ペイジ 著  沢 万里子 訳

 ニューヨークの都会からニューイングランドの片田舎に嫁いできたフェイス。牧師の夫、トムはやさしい人だし、5か月の息子ベンジャミンは愛らしく、幸せいっぱいで不満などあるはずもないのだが……と考えながら散歩をしていたら、死体に出くわした。しかも、ナイフで刺されて殺害されていたのは、トムの教会の教区民だった。持ち前の好奇心が頭をもたげたフェイスは、幸か不幸か、もう退屈だなどとは言っていられなくなったのだった。

 アガサ賞最優秀処女長篇賞を受賞した、フェイス・フェアチャイルド・シリーズの第1作。ニューヨークで仕出し料理の店を開いて大当たりしたというフェイスは大の料理好き。ベンジャミンの手が離れたらまたお店を始めたいと考えている、エネルギッシュで元気な、人が大好き(好奇心旺盛わーい(嬉しい顔))な女性だ。シリーズのヒロインとしてとても魅力的。本国では15冊まで出ており、最新の "The Body in the Snowdrift" は今年のアガサ賞最優秀長篇賞に輝いた。翻訳が待ち遠しい揺れるハート

☆著者のホームページ http://www.katherine-hall-page.org/index.html
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2006年04月20日

ウエディング・プランナーは眠れない

ローラ・ダラム 著  上條ひろみ 訳

ウエディング・プランナーは眠れない ウエディング・プランナーのアナベルは、手がけた結婚式の最中に、花嫁の母親が死んでいるのを発見した。式は中止となり、のちに死因が薬物とわかり、料理を出した友人が疑われた。友人の容疑を晴らすため、アナベルは素人探偵を買って出た。

 人生に(たぶん)一度きりの結婚式。当事者、とくに花嫁は何が何でも完璧を求める。そんな花嫁の希望から愚痴までを聞いて、式を形にしていくのがウエディング・プランナー、アナベルの仕事だ。作品を読んでいるだけで、息つく暇もない様子が伝わってくる(^^;) そんな人の本音が見えてしまう状況だからこそ起こる人間模様や事件が、業界の裏話を織り交ぜつつ、ユーモアたっぷりに描かれている。
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2006年03月15日

幽霊探偵からのメッセージ

 アリス・キンバリー著 新井ひろみ訳

幽霊探偵からのメッセージ ペネロピーは夫に自殺されたのち、一人で息子を育てていたが、伯母のミステリ書店の経営を立て直すべく、伯母のもとへと引っ越した。最初の企画は、ベストセラー作家を招いて講演会を催すというものだった。ところが、その講演中に当の作家が突然倒れて死んでしまう。自然死に思われたが他殺と判明。せっかくのイベントが台無しになった、と思いきや、驚いたことに翌日からその作家の本が大売れに売れた。お陰でペネロピーは容疑者リストの上位者という微妙な立場に立たされる。

 ペネロピーにはもうひとつ奇妙な悩みがあった。ジャックという名の幽霊の声が聞こえるのだ。私立探偵だったジャックは50年前にある事件に巻き込まれ、現在書店のあるこの場所で殺害されて幽霊となり、それ以来その建物に縛りつけられていた。ペネロピーは妄想だと思い込もうとするが、結局はジャックの存在を認めざるを得なかった。探偵ジャックに促され、容疑を晴らすべく、いやいやながら真犯人に迫っていく。

 幽霊となった探偵と、推理はイマイチのミステリ書店主の迷コンビシリーズの第1作。たおやかなペネロピーとハードボイルドで男っぽいジャックの掛け合いがおもしろい。シリーズということなので、ジャックが命を落とすことになった事件の真相がいつ登場するかが楽しみ。

 あとがきによれば、作者アリス・キンバリーは夫婦合作のペンネームだそうだ。また、クレオ・コイルというペンネームも持っているとあり、"On What Grounds" の著者と同一人物だと判明。そうだったのか〜exclamation
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2006年03月05日

青と赤の死

 レベッカ・パウエル著 松本依子訳

青と赤の死 内戦終結直後のスペインは、フランコ将軍率いる国民軍に統治されていた。戦争は終わったとはいえ、戦いの爪痕はまだ街に生々しく残っており、それは人々の心の中も同じだった。フランコ派は共和国派を「赤」と軽蔑し、共和国側はフランコ側を独裁者と憎む。

 あるとき、マドリッドの裏通りで、泣く子も黙る治安警備隊員の射殺体が発見された。知らせを受けた警備隊軍曹のテハダが部下とともに現場に駆けつけると、死体のそばでかがみこんでいる女を発見した。しかも女は共和国側の民兵の制服らしきものを着ていた。尋問もそこそこに、女を犯人と断定して銃殺にしたテハダは、被害者の隊員が親友だとわかり愕然とする。

 一方、銃殺刑にあった女は、姪が落としたノートを拾いに行っていただけだった。恋人の理不尽な死を知ったゴンサロは、警備隊に追われる身でありながら、真相を究明し、手を下した人間を探し出すことを心に誓った。

 ゴンサロが事件を調べていくうちに、テハダのほうにもゴンサロの存在がわかりはじめ、テハダもまた、改めて親友の死について調査をすることになる。すると、そこには意外な真実が……。


 スペイン内戦を舞台にした物語の中でも、本書は嫌われ者の三角帽を主人公にした珍しい作品。親子・兄弟・親友同士が戦わざるを得なくなったスペイン内戦の独特の状況や、その終結後の治安警備隊による恐怖統治などの時代背景がよく描かれている。ともすれば、暗くて血なまぐさくなりそうなところだが、治安警備隊員の若者たちが等身大でコミカルに描かれていて、ピカレスク小説を思わせる。それにしては、主人公テハダが清廉潔白でさわやかすぎるが(^^;)

 本作は2004年度のアメリカ探偵作家倶楽部賞の最優秀新人賞を受賞している。それに、シリーズ作品ということなので、テハダが今度はどんな謎に挑むのか楽しみだ。
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2006年02月17日

キリンの涙

アレグザンダー・マコール・スミス著 小林浩子訳

オンライン書店ビーケーワン:キリンの涙 アフリカはボツワナで探偵業を営む唯一の女性マ・ラモツエのシリーズ第2弾。一見、平和そうに見えても、悩みを抱えて探偵事務所の戸をたたく人はやはりいる。妻の浮気を心配する夫、社員の使いこみを疑う社長、そして、時にはもっと大きな苦しみを抱えている依頼人もいる。アメリカからやってきたミセス・カーティンもその一人だった。十年前にこの地で消息を絶った息子マイケルに何が起こったのかを知りたいというのだ。マ・ラモツエは、十年も経った今、はたして彼女の心を救えるような結果がだせるのだろうかと悩みつつも、調査を進めていく。

 一作目『No.1レディース探偵社、本日開業』は短編連作集だったが、今回は長編で読み応えがあった。前回の最後にミスター・J・L・B・マテコニのプロポーズを受けたマ・ラモツエは、冒頭から幸せな雰囲気に包まれている。指輪を買うのは当然なんだとマテコニに思わせるシーンや、どちらの家に住むかという微妙な問題の話のもっていきかたなど、さすがマ・ラモツエ!と感心し、ますますファンになった。ほのぼのとしていながらも、ラモツエ自身は真っ向から探偵業に取り組んでいるところが甘すぎずにいい。アクションはないが、その代わり、知能と機転で勝負し、人の心のきびを教えてくれる。次回作が待ち遠しい揺れるハート
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2006年02月05日

新生の街

S・J・ローザン著 直良和美 訳

新生の街 中国系アメリカ人のリディアと白人男性ビルの探偵コンビのシリーズ第3弾。今回はリディア視点の物語。
 新進デザイナーのコレクション用のスケッチが盗まれ、犯人から5万ドルの要求がきた。その金の受け渡しに雇われたリディア。相棒のビルとともに指定場所に赴くが、予想外の銃撃を受け、まんまと金は盗まれた。怒った犯人からはさらに次の要求が……。関係者の背後を洗ううち、どうも単純な金目当てや嫌がらせの犯行ではないらしいと思えたが、その正体はいっこうにつかめない。

 舞台は早春の街。結果的に邪悪な犯人が起こした事件だったけれど、それでも、読後感がこれほどまでにさわやかなのは、やはり、リディアとビルのコンビからくるものだろう。二人の息はぴったりで、相手の次の行動が読めるほどお互いを知り尽くし、全幅の信頼を置いている。二人の、相棒以上、恋人未満という関係が今後どうなっていくのかが本当に気がかり目
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2006年01月30日

やっつけ仕事で八方ふさがり

ジャネット・イヴァノヴィッチ著 細美遙子 訳

やっつけ仕事で八方ふさがり ステファニー・プラム・シリーズ第8作。実家のお隣さんメイベルに泣きつかれ、彼女の孫娘、イーヴリンを捜すことになった。本業のバウンティ・ハンターの仕事もままならぬというのに、やっかいなことを引き受けてしまったステファニー。いつものごとく、ステファニーが何かに首を突っ込むと、いろんな悪人が飛び出してくる……。イーヴリンのもと夫や悪名高いアブルッツィの妨害を受けながら、ステファニーはイーヴリンを探し当てることができるのか?

 ステファニー・シリーズには“ハズレ”というものがないですね! 今回も本当におもしろかったです。単純な人探しがよくもこれほど複雑になるもんだ、と感心します。レンジャーとの仲はムムムだし(バット・ケイヴも見てみたい!)、今回はメイザおばあちゃんはちょっとおとなしめだったけれど、代わりにお母さんと姉ヴァレリーが活躍! ますます目が離せないシリーズです。
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2006年01月15日

このペン貨します――ジェイン・オースティンの事件簿

 ローラ・レバイン著 石塚あおい 訳

このペン貨します――ジェイン・オースティンの事件簿 有名なイギリスの小説家と綴りは違うが同姓同名のジェイン・オースティン。36歳バツイチの彼女は、代筆業をして食欲旺盛な猫、プロザックを養っている。あるとき、ふらりと訪れた気の弱そうな男が妙な依頼を持ち込んだ。ラブレターの代筆をして欲しいというのだ。これも仕事と引き受けたのはよかったが、その手紙がもとで当の依頼人が殺人犯として疑われることに! 依頼人は絶対に犯人ではない、と信じるジェインは真犯人探しに乗り出す。

 ユーモア・ミステリーということで、期待が大きすぎたのか、もうひとつ(^^;)という感想。一人称で女心の本音(?)を語っているところなどは「ブリジット・ジョーンズの日記」を思い起こしました。私の好みとしては、もう少し探偵らしいほうがいいかなわーい(嬉しい顔)
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2005年12月25日

ドティおばさん、銀行に押し入る

 C・クラーク・クリスクオーロ 著  吉澤康子 訳

ドティおばさん、銀行に押し入る 未亡人のドティは、骨折で入院したことで職を失った。退院後、職探しに走るが、58歳という年齢から、ひとつも見つからない。そんなとき、銀行強盗をして捕まった重病人が優雅な看護つき独房生活を送っているという新聞記事を目にし、そんなことが本当にできるのなら……と、ある決心をする。

 ドタバタ・ミステリだと思って読み始めたが、内容はかなり違っていた。ユーモラスな表面の下に流れているのは、社会的・経済的に弱い立場にある人々の悲痛な叫びだった。ミステリ色はあまりなく、読み終わった後は考えさせられた。
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2005年11月20日

ファッジ・カップケーキは怒っている

ジョアン・フルーク 著  上条ひろみ 訳

ファッジ・カップケーキは怒っている お菓子探偵ハンナ・シリーズ第5弾。

 レイク・エデンの料理本が作られることになり、ハンナはレシピを収集していたが、問題がひとつ。あるファッジ・カップケーキの「秘密の材料」を知っている唯一の人物がなくなっているため、ハンナがそれをつきとめなければならなくなった。そんななか、グラント保安官が殺され、保安官に立候補していた義弟のビルが容疑者にされたため、ハンナはこちらの謎解きにも力を注がなくてはならなくなった。

 胸ときめくボーイフレンド、マイクと、いっしょにいるとほっとするボーイフレンド、ノーマンとの間で、相変わらず揺れているハンナ。ひょっとして、永遠にこのまま?
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2005年10月10日

恋するA・I探偵

ドナ・アンドリューズ 著  島村浩子 訳

恋するA・I探偵 変人パワー爆発の“鳥シリーズ”とは別の、アンドリューズの新シリーズ。主人公はなんと、人間ですらない、人工知能(A.I.)。なぜか性別があって、女性。そんな彼女、チューリングは、自分をプログラミングしてくれたザックにひそかな恋心を抱いていた、というまさかな設定ながら、怪しい陰謀が見え隠れし、スピード感もあるし、名作ミステリを読破したチューリングとのやり取りはミステリファンの心をくすぐります。アガサ賞最優秀長篇賞を受賞したのもうなずけます。

 ストーリーは、失踪したザックを心配したチューリングが、人間の仲間2人とともにザックを探しているうちに、ある陰謀の存在に気がついて――というもの。もともと、チューリングはAIのなかでも、とびきり人間的だったけれど、今回の経験をしてさらに進化した様子。また、別のAI仲間も「人間らしい」という面ではチューリングに近づきつつあって、シリーズの続きが楽しみ黒ハート
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2005年09月20日

ピーナッツバター殺人事件

 コリン・ホルト・ソーヤー 著  中村有希 訳

ピーナッツバター殺人事件 〈海の上のカムデン〉シリーズ第4弾。
 列車に轢かれて死亡した男性がホームの住人と親しくしていたことから、いつもとは逆に、マーティネス警部補からそれとなく探りを入れるように頼まれたアンジェラたち。今回は本格的に(?)事務所に侵入捜査したり、新メンバーにパソコンの内容を探らせたりと、探偵活動もバージョンアップしています! 謎解きの面でも楽しめた本作品は、シリーズ中でも一押しですかわいい
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2005年09月05日

レモンメレンゲパイが隠している

ジョアン・フルーク著  上条ひろみ訳
ヴィレッジブックス

このレモンメレンゲパイが隠している レイク・エデンという小さな町でクッキー・ショップを営んでいるハンナには、友だち以上恋人未満のボーイフレンドが二人いる。一人は歯科医のノーマン。穏やかな性格でいっしょにいるとほっとする男性。もう一人は保安官事務所の刑事部長マイク。町一番のハンサムで、いっしょにいるとドキドキする相手。

 ノーマンとマイク、どちらか一方とより深い付き合いに進展させるという気持ちにはなれないでいるハンナだったが、ノーマンは、以前いっしょに設計した「夢の家」を現実に建てると言い出した。ついに結婚かと周りは色めき立つが、当のノーマンはいっこうにハンナにプローポーズしそうにない。

 「夢の家」のために湖のほとりの古い家を買ったノーマン。ハンナはその家の片づけを手伝いにいって、またもや死体を発見してしまう。被害者はその家の元所有者だった。いつもなら捜査に首を突っ込むなとみんなから釘を刺されるのだが、今回はいろいろな事情が重なり、犯人を見つけてくれとみんなから期待されてしまう。


 ハンナはノーマンともマイクともデートしています。つまり、周囲公認の二股? そんなことってありなんでしょうか? あ、ステディになるまではいいのか。でも……日本ではちょっと考えられないような……。そう思うのは私だけでしょうか?

 今回はハンナの下の妹ミシェルが登場します。上の妹アンドリアとはようやくわかりあえ、最近は探偵作業の息もぴったりですが、さてミシェルとは……。頼りになる共同経営者リサの父も登場し、いつもにも増して周辺家族がクローズアップされているような気がします。ハンナ自身はというと、柄にもなく(?)ダイエットを実行したり、真犯人に近づきすぎて危ない目にあったりします。それにしても、自分が太ったかどうかもわからないなんて、ハンナっていったい(^^;)
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2005年08月22日

反撃

リー・チャイルド著  小林宏明訳
講談社文庫

 シカゴにやってきた元陸軍少佐で今は放浪の身のジャック・リーチャー。クリーニング店から出てきた足の不自由な女性に手を貸そうとしたそのとき、三人の男に取り囲まれ、車で拉致された。狙いはその女性ホリー。彼女はFBI捜査官で、その身元に何か狙いがあるらしい。二人が連れて行かれたのは、森の中に造られた民兵組織の根城だった。テロをもくろむ民兵組織とリーチャーたちの壮絶な戦いが始まる。

 シリーズ2作目。1作目はリーチャーの1人称で語られていたのに、2作目からは3人称で語られていてびっくりした。前回は小さな町が舞台で、思わぬところにリーチャーの兄が出てきたりしたが、今回はテロ組織の要塞の中での攻防が中心ということで、より軍事色が濃くなっている。だが、軍事方面にはまったく明るくない私でもすらりと読めた。また、今回も上・下巻という長編だが、飽きさせない展開で読者をぐいぐい引っ張っていく。まだ2作目だというのに……リー・チャイルド恐るべしわーい(嬉しい顔)


反撃 上
反撃 上
posted with 簡単リンクくん at 2005.11. 2
リー・チャイルド〔著〕 / 小林 宏明訳
講談社 (2003.2)
通常2-3日以内に発送します。
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2005年08月05日

第四の扉

ポール・アルテ著  平岡 敦 訳
ハヤカワ・ポケット・ミステリ

 大学生のジェイムズには、ジョンとヘンリーという近所に住む親友がいる。ジョンの母親は数年前に、密室状態の屋根裏部屋で全身を切り刻まれて死んでいた。以来、その屋根裏部屋には幽霊が出るという噂が絶えない。そこに霊能力を持つと称するラティマー夫妻が越してきた。一方、何事かで父親と言い争っていたヘンリーが失踪してしまう。ところが、数日後同じ時刻に別々の場所でヘンリーは目撃された。そして、ラティマー夫妻が主催して屋根裏部屋で行われた交霊実験では、ふたたび密室殺人が起きてしまう。

 ポール・アルテ、一度読んでみたいと思っていました。このトリックどこかで見たような、見ていないような……きっとこちらが本元なのでしょうね。ちょっとおどろおどろしいモバQ雰囲気が独特です。時代背景がセピア色という感じはありますが、謎解きとしては今でも充分楽しめるのではないでしょうか。ただ、私にはどうもフランスミステリはあわないかも(^^;)


第四の扉
第四の扉
posted with 簡単リンクくん at 2005.11. 2
ポール・アルテ著 / 平岡 敦訳
早川書房 (2002.5)
通常2-3日以内に発送します。
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2005年07月28日

春を待つハンナ

エヴァン・マーシャル著  高橋恭美子訳
ヴィレッジブックス

 夫亡き後、著作権エージェントとして事務所を切り盛りしているジェーン。息子のニックと三毛猫のウィンキーとベビーシッターのフローレンスと暮らしている。

 ジェーンが事務所の経営が思うようにいかず頭を抱えていたところに、人気歌手ゴッデスの代理人というおいしい仕事が舞い込んできた。ところが、その仕事を紹介してくれた編集者が殺害されてしまった。一方、ニックは自分の誕生日パーティーで、ホテルの裏庭で首吊り死体を発見してしまう。一見、何のかかわりもないように見えるこの二つの事件だが……。


 1作目『迷子のマーリーン』に続くシリーズ2作目。前作よりも複雑でおもしろかった。脇役の登場人物たちの背景もクローズアップされて、ストーリーに厚みができた感がある。それに何より、ウィンキーの出番が多かったのがうれしい。今回は直接犯人逮捕に活躍する手(チョキ) このシリーズ、今後もどんどんおもしろくなっていって欲しいと思う。


春を待つハンナ
エヴァン・マーシャル著 / 高橋 恭美子訳
ソニー・マガジンズ (2005.1)
通常2-3日以内に発送します。
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2005年07月20日

気分はフルハウス

ジャネット・イヴァノヴィッチ著  細美遥子訳

 離婚して、教師をしながら女手一つで二人の子供を育てているビリー。そんなビリーが何を血迷ったか、ポロを習おうと思い立った。インストラクターは趣味で教えているという、ニックという大富豪だった。住む世界があまりにも違うこの二人、果たして無事結ばれるのか?

 あれ? この紹介ではまるでロマンス小説ですね。でも、この本はミステリーとして出版されています(少なくとも翻訳書は)。イヴァノヴィッチがロマンス作家時代に書いた作品を加筆して、新しく立ち上げたフル・シリーズの1作目です。とはいえ、シリーズの本格的な始まりは2作目以降になるようです。というのも、2作目には、本書の主人公たちが出てこないからです。主人公は、本書の脇役であるニックのいとこのディーディーの弟マックスで、ヒロインは影も形も出てきません。なので、シリーズとして読んでいこうと思っている方でも、1作目は読み損ねても問題はありません目

 さて、内容ですが、ロマンス系とはいえ、やはりそこはイヴァノヴィッチです。どたばたは相変わらず、爆破事件さえ出てきて、期待を裏切りません。ただ、やはりプラム・シリーズと比べるとドタバタにスマートさがない(スマートなドタバタってあるのか?)というか、強烈にひきつけるものがないというか……。あ、ビリーがまじめな先生でありよき母親だからかもしれません。やはり、私にとってプラム・シリーズは特別ですハートたち(複数ハート)


気分はフルハウス
ジャネット・イヴァノヴィッチ著 / 細美 遥子訳
扶桑社 (2004.2)
通常2-3日以内に発送します。
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2005年07月10日

キリング・フロアー

リー・チャイルド著 小林宏明訳
講談社文庫(上・下巻)

 陸軍のMPを辞めてから放浪生活をしているジャック・リーチャー。唯一の身内である兄の手紙にあった小さな町にたまたま立ち寄ったことから事件に巻き込まれる。

 その町に着いてすぐにダイナーで朝食を取っていると、いきなり殺人容疑で逮捕されてしまう。身に覚えのないリーチャーはすぐ疑いは晴れるだろうとおとなしくついていくが、あいにくの週末で、アリバイの裏づけが取れるまで週明けまで刑務所で過ごさなければならなくなった。刑務所で2日間静かに過ごせばあとは自由の身だと考えていたが、なぜか刑務所内で殺されかける。仕組まれていたようだ。その殺人事件の裏には何か大きな陰謀が隠されていそうだった。


 リーチャーは軍人の息子で、生まれたときから世界中の基地を転々として育ってきた。大人になった本人もまた軍人となり、やはり世界中を転々とし、どこかの町に“住んだ”という経験がない。だからなのか、軍隊を辞めてアメリカ中を旅する今となっても物に執着心がない。物だけでなく土地にもだ。数日間も滞在すればまた次の土地を目指す。こんなヒーロー設定のミステリを読んだのは初めてだった。アクションはかなり過激(元軍人だからソツがない(^^;))なのに心は繊細で、その上、元MPでならしただけあってホームずばりの推理を披露する。シリーズということで、リーチャーの今後の活躍も楽しみだるんるん 本作品はアンソニー賞の最優秀処女長編賞を受賞した。


キリング・フロアー 上
リー・チャイルド〔著〕 / 小林 宏明訳
講談社 (2000.6)
通常2-3日以内に発送します。
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2005年06月10日

我輩はカモである

ドナルド・E・ウェストレイク著  池 央耿訳
ハヤカワ文庫 ミステリアス・プレス

 フレッド・フィッチは詐欺師にだまされてばかりいるお人よし。今度こそはだまされないぞと心に誓うも、そう言っているそばからまただまされる。そんな彼のもとに、顔も知らなかった叔父の遺産が転がり込んできた。ところが、その叔父は詐欺師だった。しかも、誰かに殺されたんだという怪しげな情報をもたらすものが出てきた。本人が知らないうちに事件の渦中に巻き込まれ、命まで狙われる羽目に……。

 ウェストレイクという名前だけは知っていた作家ですが、作品を読んだのは初めてでした。コンゲームものなので引かれて読み始めたのですが、切れ切れに読んだせいか、いまいち内容が頭に入ってきませんでした。スピーディというよりはゆるゆるとした展開で最後に鮮やかなどんでん返し、というのは、良質の古い映画を見ているようでした(というか、これも映画化されたのでしょうか?)。次は有名なドートマンダー・シリーズにも挑戦してみたいと思います。ちなみに、本書はアメリカ探偵作家クラブ賞受賞作品。


我輩はカモである
ドナルド・E.ウェストレイク著 / 池 央耿訳
早川書房 (2005.2)
通常24時間以内に発送します。
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2005年05月25日

ハゲタカは舞い降りた

 ドナ・アンドリューズ著  島村浩子訳

 鍛冶職人なのに腕を怪我してしまったメグは、弟のロブが立ち上げたソフト会社を手伝うことになった。社員のプログラマーたちは癖のありそうな人たちばかり、おまけに手違いから精神科医たちとオフィスをシェアすることになり、その上、オフィスにはなぜかハゲタカが……。

 いつものごとく、メグが電話の対応に追われていると、メールカートが回ってきて、その中にはなんと絞殺された社員の一人が入っていた! 超個性的なプログラマーたち、なんだか私生活も込み入ってそうな精神科医たち、それに以前くびになったことを逆恨みしているというストーカーの影までちらついて、メグの周りは怪しい人だらけ。しかも、恋人のマイクルは遠くハリウッドの空の下。さて、今回もメグは事件をきっちり解決できるのか?

 いつものようにハチャメチャさが癖になる、メグ・ラングスロー・シリーズのユーモア・ミステリ。今回はいつもにも増して個性的な面々が登場しているような……。それと、本筋とは関係ないけれど、マイクルに恋敵が現れた!? この人、次回作にも登場するのだろうか。気になるふらふら


ハゲタカは舞い降りた
ドナ・アンドリューズ著 / 島村 浩子訳
早川書房 (2004.12)
通常2-3日以内に発送します。
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2005年04月18日

夜歩く

 ディクスン・カー 著  井上 一夫 訳

 精神異常の前夫ローランに殺されかけたことのある女性ルイズがサリニー公爵と結婚した。式の後、友人たちと共にクラブを訪れたが、そのクラブでサリニー公爵は首を切り落とされて殺害されてしまった。パリの予審判事バンコランは、ローランが精神病院から逃げ出して整形手術を受けたという情報をつかんでおり、友人のジェフとともにクラブを見張っていたというのに、その監視をかいくぐっての密室殺人だった。


 カーの作品を読んだのは初めてでした。デビュー作ということでまずこの作品を読んでみたのですが、時代背景も古いせいか、もったいぶったような言い回しなので、わたしの好みにはあいませんでした。でも、なんといっても巨匠といわれるカーですから、今度は短編に挑戦してみようかなひらめき


夜歩く
夜歩く
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ディクスン・カー著 / 井上 一夫訳
東京創元社 (1981)
通常2-3日以内に発送します。
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2005年03月13日

酔いどれに悪人なし

 ケン・ブルーウン 著  東野さやか 訳

 酒のせいで警察を首になったジャックは私立探偵になった。腕はそれほどでもないが、元警官ということでまあまあ仕事はあった。ただ、酒との腐れ縁は相変わらず断ち切れずにいた。

 ある日やってきた依頼人は、自殺した少女の母親だった。娘が自殺したとは信じられず、真相を突き止めてほしいというのだ。最初はあまり乗り気のしない調査だったが、調べるうちに、他にも少女の自殺事件が起きていることがわかった。親友のサットンと探りを入れていくうちに、死人が相次ぐようになる。


 2004年度のシェイマス賞受賞作。アイルランドが舞台の探偵小説を読んだのは初めてだった。アル中探偵というと、ローレンス・ブロックのマット・スカダーをすぐ思い浮かべるが、なぜか、こちらは根明という印象。アイルランド人気質のなせるわざか? 主人公がアル中ということにあまり後ろめたさを感じていないフシが(^^;) ただ、この主人公が他の酔いどれ探偵と決定的に違うのは、無類の本好きという点。探偵小説だけにとどまらず、その守備範囲は相当なもので、まったくついていけなかった(T T) シリーズものということで、ちょっとユニークな探偵の登場だるんるん
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2005年03月06日

密造人の娘

 マーガレット・マロン 著  高瀬素子 訳

 デボラ・ノットはノースカロライナ州コルトン郡で弁護士をしているが、思うところあって地方裁判所の判事に立候補した。その忙しいさなかに、子供のころベビーシッターをしていたことのあるゲイルが訪ねてきて、18年前に母を殺した犯人を見つけてほしという。しぶしぶ引き受けたデボラだったが、それが新たな殺人の引き金になろうとは、そのときは思いもしなかった……。

 ゲイルは赤ん坊のとき母親と共に行方不明になり、3日後に発見されたとき、母親は射殺されていた。結局、犯人は見つからなかった。デボラは忙しい選挙戦の合間を縫って、当時の捜査官や関係者に話を聞いていく。解決の糸口さえ見つけられずにいる矢先、ゲイルたち家族の隣に住んでいたマイケルが射殺体で見つかる。恋人と激しい口論をしていたため、痴情のもつれが原因かと思われたが……。

 MWA賞、アンソニー賞、アガサ賞、マカヴィティ賞を総なめした作品だけあって、さすがに読み応えがあった。話の筋もさることながら、ストーリーのあちこちからにじみ出る南部の雰囲気はたまらなく魅力的だった。タラに模した建物が出てきたり、大掛かりなガーデン・パーティーが開かれたり。物理的なものだけでなく、女性の地位とか、黒人差別とか、同性愛者などへの南部人独特の意識と、主人公を代表とする現代人の意識とのずれが愛情を持って描かれているので、ほほえましくさえあった。なかでも、南部人を象徴する登場人物であり、題名にもなっている、密造酒人だったデボラの父の存在はインパクトが強かった。脱税で捕まり、服役した過去を持ち、足を洗った今でも地元のドン的な存在なのだ。この父娘は似ているがゆえにぶつかり合うのだが、根底では強い信頼と愛情で結ばれており、そんな二人の会話の場面が一番印象に残った。
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2005年02月16日

迷宮の暗殺者

 デイヴィッド・アンブローズ 著  鎌田三平 訳

 政府の秘密機関に所属している特殊工作員チャーリー・モンクは、ずば抜けた反射神経と体力で、〈コントロール〉に命じられる任務を完璧にこなし続けていた。ところが、ある任務を遂行中に生き別れになっていたキャシーに遭遇し、彼女との接触を試みようとしたことから、彼の人生を根底から覆すような事実を知ることになる……。

 もう一人の主人公スーザン・フレミングは、ピルグリム財団で視覚的記憶の研究をしている医師だ。夫は国際援助機関で働く医師だが、飛行機事故にあい死んでしまう。ところが、あるフリーライターがあれは事故ではなくて仕組まれたものだったとスーザンに告げた。最初は取り合わなかったスーザンだが、フリーライターの死を知り、真相を探り始める。彼女が夫の死の真相にたどり着いたとき、六歳の息子と父親が人質に取られ、口を閉ざすように脅された。スーザンは組織の陰謀をなんとかして白日の下にさらそうとするのだが……。

 チャーリーとスーザンの物語が交互に語られていく。何の接点もないように見えていた二人の人生が突然、ある一点でつながることになる。そこから物語りは急展開し、まさにジェットコースターに乗っているように猛スピードで上下左右に揺さぶられることになる。どんでん返しの連続でおもしろかったが、ラストの部分は混乱させられた。たぶん、それが狙いなのだろうとは思うが……。これって、科学風刺小説??
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2005年01月31日

喪失

 カーリン・アルヴテーゲン 著  柳沢由実子 訳(小学館文庫)

 32歳のシビラはストックホルムで15年もの間ホームレスの生活を続けてきた。だが実は、故郷の村では会社社長のお嬢様として育っていた。それが、様々な出来事、事情から家出をして、都会でひとり社会に背を向けて生きることになった。

 そんなある日、時々やる手で、ホテルの男性客に部屋代をおごらせることに成功した。ところが、翌日、その男性が殺されていることを知り、逃げ出した。その後、同じ手口の犯行が相次ぎ、すべてをシビラの犯行とみなされ指名手配される。びくびくしながら、逃げているだけのシビラだったが、ひとりの少年と出会い、真犯人を見つける決心をする。

 殺人犯を捜すという意味ではミステリ、いつ警察の手が伸びてくるのかわからないという点ではサスペンスの要素があるが、その両者よりも「心理小説」といった色が濃いように思う。この『喪失』は2000年のベスト北欧推理小説賞を受賞している。
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2005年01月31日

殺人を一パイント

 アリサ・クレイグ 著  宮脇裕子 訳

 ユーモア・ミステリのシャーロット・マクラウドが別名義で書いたジェネット&マドック・シリーズの第1作。

 カナダの田舎町に兄と暮らすジェネットは、隣人アギーが亡くなったと聞いてショックを受ける。医者によれば食中毒だということだが、アギーは87歳とは思えないほどしっかりしていたし、とくに食べるものには人一倍気を配っていたので、ジェネットにはとても信じられなかった。

 地下貯蔵庫で不審な瓶詰めを見つけたジェネットは、中身を調べてもらおうと持っていった先で医師が死んでいるのを発見する。一見、事故死に見えたが、観察眼の鋭いジェネットの目はごまかせない。アギーや医師の死は他殺だと力説するジェネットの声に耳を傾けた町の自動車修理工兼任の警察署長は、カナダ騎馬警官隊に応援を要請した。

 ちょっとしたことでもすぐに町じゅうに広がってしまう小さな町に、個性豊かな登場人物が織り成す物語ときてはおもしろくないはずがない(^^) コミカルでコージーなのだけれど、謎解きのほうもしっかり楽しめるところが、さすがにマクラウド。

 地理的に近いせいか、風景の描写などが『赤毛のアン』を思わせるとことがあった(単に、舞台がカナダだったからだろうか?)。
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2005年01月10日

迷子のマーリーン〈三毛猫ウィンキー&ジェーン・シリーズ1〉

 エヴァン・マーシャル 著 高橋恭美子 訳 (ヴィレッジブックス)猫

 夫の亡き後、9歳の息子を抱え、著作権代理事務所を一人で切り盛りしているジェーン。ただでさえ忙しい毎日なのに、ベビーシッターのマーリーンがとつぜん行方不明に。マーリーンとは波長が合わなかっただけに新しいシッターを雇うのにやぶさかではないが、マーリーンは親友の娘だったので無事を確かめないわけにはいかなかった。仕事のかたわら手を尽くして探し回るのだが……。

 コージーにはお決まりの個性的な登場人物がそろっている。作家でジェーンの恋人ロジャーはかっこつけのろくでなし、アシスタントは献身的に仕事をこなすハンサム・ガイ、新しいベビーシッターはとってもいい子で、息子のニックはかわいくて、飼い猫のウィンキーは……名探偵?

 ほとんどがマーリーンを捜してばかりで、事件らしい事件が起こらないじゃない、と思ったが、最後を読んで納得した。また、マーリーンを捜している間もこなされていく「著作権代理事務所」の仕事は、出版業界の裏側を覗くようで興味深かった。そして、個人的には三毛猫のウィンキーのかわいらしさが◎(欲を言えばもっと登場してほしい!)。
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2005年01月05日

容疑者たちの事情

 ジェイニー・ボライソー 著/山田順子 訳(創元推理文庫)

 イギリスのコーンウォールで写真と絵画で生計を立てているロージーは、4年前に最愛の夫をなくしていた。そろそろ社交生活を再開しなければと、引っ越してきたばかりの大きな屋敷の女主人に招かれてホームパーティーにでかけたが、パーティーの最中に女主人がバルコニーから転落死してしまう。警察は他殺と断定した。被害者の夫も息子も経済状態は芳しくなく、遺産という動機が考えられた。それに、夫には別れようとしていた愛人がおり、息子には結婚を反対されていた婚約者がいた。

 ミステリとしてはあまり目新しさがなかったような気がする。シリーズ化されるようなので、ローズと警部のジャックとの仲の進展模様は気になるが、犯人探しのほうは、なんとなく出てきちゃったという感じだった。ただ、コーンウォールの自然の描写がすばらしく、行ってみたい、住んでみたいと思った。
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