北村薫 著
「覆面作家」というペンネームでミステリー小説を書き始めた大富豪のご令嬢千秋さんの名推理が冴え渡る〈覆面作家〉3部作の完結編。
・「覆面作家と謎の
写真」
良介の兄が良介のライバル社の編集者、美奈子と
結婚した。一方、良介と千秋の仲はというと……ディズニーランドに二人で行くといっても、取材のためだったりする。そんな話をしていたら、美奈子が友だちの妙な話をしてきた。去年、結婚退職をする友達とディズニーランドに行ったときの写真を友達に見せてもらっていたら、その日、日本にいるはずのない人物が写真に写っていたというのだ。心霊写真という話もでるが、千秋の推理はちょっと切ないものだった……。
・「覆面作家、目白を呼ぶ」
新人賞を受賞した金山に、良介は
福島まで会いに行くことになった。二人がファミレスで打ち合わせをしていると、金山の職場の同僚森崎がランチを食べに入ってきた。金山の様子が落ちつかなげになったのは苦手な先輩と顔をあわせたためだろう。金山の提案で、帰りは森崎の車の後をついて近道を教えてもらうことになった。その日は暑い日で、帰りがけに金山は良介と森崎に冷たい
ジュースをくれた。森崎について“近道”という山道を行く途中、突然、森崎の車がハンドルを切り、崖から転落した。どうも納得のいかない良介は千秋に相談する。
・「覆面作家の夢の家」
ミステリー作家の由井先生はドールハウス作りを趣味にしている。その趣味が縁で知り合った歌人で学者の藤山先生から挑戦状ならぬ、ドールハウスが送られてきた。そのドールハウスは、藤山本人の人形に矢が刺さり、“恨”というダイイング・
メッセージが残されている殺人現場を表していた。千秋の探偵としての力量を良介から聞いた由井は、千秋に話しを持ちかけ、この謎を解くための探偵団を結成する。
最後の話が一番好きでした。ドールハウスの謎解きもおもしろかったし、3部作の完結編ということで、良介と千秋の仲にも一応の結末が出されるのだろうと抱いていた大きな期待を裏切らない物語でした。ラストのシーンは本当に印象深く、ずーっと記憶に残りそうです(^^)