2005年10月20日

消える密室の殺人

 柴田よしき 著

消える密室の殺人 猫探偵正太郎シリーズ第2弾。

 いつものことだが、本「猫」には何の了解もなく、バスケットに入れられ、連れ出された正太郎。目的地はなんと東京だった。そこで、思いもよらない殺人&殺猫事件に遭遇する。友達になったばかりのアビシニアン、デビッドが殺されたとあっては、犯人を見つけないわけにはいかない。ところが、現場は完全な密室状態で……。それでも、正太郎は持ち前の推理力と行動力で謎を解いていくexclamation
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2005年06月20日

倒錯のロンド

折原一著

 山本安雄は「月間推理新人賞」受賞を目指してひたすら小説を書き続けた。とうとう書き上げた作品は受賞間違いなしと思えるほどのできばえだった。親友の城戸に見せたところ、手書き原稿だと読みにくいと忠告される。城戸はワープロで打ち直してやろうと申し出る。ところが、タイプし終えた原稿を山本のもとに届ける途中で、城戸は原稿をなくしてしまい、慌てて探すが見つからない。実は、電車に置き忘れられた原稿を盗んだ者がいたのだ。後日、新人賞を獲得し、発表された作品は山本が書いたものだった。

 視点があちこち変わり、だまし絵のような仕掛けがしかけられていて、ちょっと複雑すぎて混乱しました。まさにロンドしているのです。玄人受けするストーリーかなと、ふと思いました。鬱々とした心境に入り込んだので、個人的には少々辛かったです。でも、好きな人はすごく好きかも、という作品です。


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2005年05月07日

ゆきの山荘の惨劇

 柴田よしき著

 猫探偵正太郎が活躍するシリーズ第1作。

 正太郎は気がつくと箱に閉じ込められて車上の猫となっていた。同居人の売れないミステリー作家ひとみが友人の結婚式に出席するため、正太郎を連れ出そうと一服盛ったらしい。目的地は「柚木野山荘」という山奥の別荘だ。

 幸せなはずのカップルなのに、新婦はひとみに相談を持ちかけ、新郎は脅迫めいたファックスを受け取っていた。そんな状況の中で、土砂崩れがおき、最後にやってきた2名が危うく生き埋めになりかけた。かと思えば、今度は食中毒で死者が出た。外界へ通じる唯一の道が土砂崩れで普通のため、救助を呼ぶこともできなかったのだ。

 だがそこで、食中毒は故意による毒殺という疑いが生まれた。けれど、いつ、だれが、どうやって? 猫探偵正太郎が、親友犬サスケと一目ぼれした美猫トマシーナとともに事件の手がかりを追う。


『猫は密室でジャンプする』ですっかりファンになってしまい、正太郎シリーズの第1作をやっと手に入れて読みました。今回は長編ということで登場人物&動物も多く、読みごたえがありました。結末のどんでん返しにはやられましたが、ファックスを送りつけた犯人は予想通りでした手(チョキ)


ゆきの山荘の惨劇
柴田 よしき〔著〕
角川書店 (2000.10)
通常2-3日以内に発送します。
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2005年04月13日

陰陽師 ―生成り姫―

 夢枕 獏 著

 安倍晴明は親友の源博雅から想い人について打ち明けられる。想い人とは、堀川橋のたもとで笛を吹いていると牛車でやってきて博雅の笛の音を聞いていたどこかの姫だった。ところが、姫が琵琶で伴奏し、二人が初めて対面したその晩を境に、ぱったりと姫は現われなくなったというのだ。

 それから12年。再び掘り川端に現われた彼女は深い悩みを抱えている様子だった。力になってやれなくて歯がゆい思いに駆られる博雅。それからまもなく、貴船神社に丑の刻参りに現われる女がいるといううわさが立つが……。


 この話、どこかで聞いたような……いや、確かに読んだ覚えがある! それもそのはず、以前、短編で収録されていたものを長編に書き直したものだそうだ。陰陽師初の長編ということで期待大だったのだが、文献とか説明の挿入が多く、そういう意味では好みではなかった。大好きな博雅のエピソードではあったのだが……。今度はぜひ、全編晴明と博雅のまったりとしたストーリーのものをお願いしますぴかぴか(新しい)


陰陽師生成り姫
夢枕 獏著
文芸春秋 (2003.7)
通常24時間以内に発送します。
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2005年03月17日

8の殺人

 我孫子武丸 著

 蜂須賀建設社長がその名前に引っ掛けて建てた8の字の形をした屋敷。その形を利用した殺人事件が起きた。担当の速水警部補は推理小説マニアの弟と妹の助けを借りて事件解決へと奔走する。

 中庭をはさんで北側と南側に部屋が並び、周囲を廊下が取り巻く長方形、三階建ての建物。その三階の中央廊下に副社長の菊一郎が倒れていた。娘の雪絵と彼女の手話の先生美津子は南西の角の部屋にいて、ちょうど対角にあたる北東の部屋から犯人がボーガンを放つのを目撃していた。といっても、薄暗かったので顔まではわからない。その部屋の住人は屋敷の雇人の息子雄作で、状況はすべて雄作に不利だったが、彼の無実を信じる雪絵は速水に訴えた。速水も雄作の様子から犯人とは思えない。だれが、またどうやって菊一郎を殺害したのか? なんとかしてそのトリックを解かない限り、犯人の特定は難しそうだった……。


 刑事の弟と妹が推理マニアだということで、ホームズやフレンチ警部などさまざまな古典が引き合いに出される。中でも、ひときわ話題の中心になっているのがディクスン・カーだ。犯人は『皇帝のかぎ煙草入れ』からヒントを得たらしい。読んでみなければexclamation 古典の話はほとんどついていけなかったけれど、好きな人にはたまらないのだろうな……。
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2005年03月12日

覆面作家の夢の家

 北村薫 著

「覆面作家」というペンネームでミステリー小説を書き始めた大富豪のご令嬢千秋さんの名推理が冴え渡る〈覆面作家〉3部作の完結編。

・「覆面作家と謎の写真
  良介の兄が良介のライバル社の編集者、美奈子と結婚した。一方、良介と千秋の仲はというと……ディズニーランドに二人で行くといっても、取材のためだったりする。そんな話をしていたら、美奈子が友だちの妙な話をしてきた。去年、結婚退職をする友達とディズニーランドに行ったときの写真を友達に見せてもらっていたら、その日、日本にいるはずのない人物が写真に写っていたというのだ。心霊写真という話もでるが、千秋の推理はちょっと切ないものだった……。

・「覆面作家、目白を呼ぶ」
  新人賞を受賞した金山に、良介は福島まで会いに行くことになった。二人がファミレスで打ち合わせをしていると、金山の職場の同僚森崎がランチを食べに入ってきた。金山の様子が落ちつかなげになったのは苦手な先輩と顔をあわせたためだろう。金山の提案で、帰りは森崎の車の後をついて近道を教えてもらうことになった。その日は暑い日で、帰りがけに金山は良介と森崎に冷たいジュースをくれた。森崎について“近道”という山道を行く途中、突然、森崎の車がハンドルを切り、崖から転落した。どうも納得のいかない良介は千秋に相談する。

・「覆面作家の夢の家」
  ミステリー作家の由井先生はドールハウス作りを趣味にしている。その趣味が縁で知り合った歌人で学者の藤山先生から挑戦状ならぬ、ドールハウスが送られてきた。そのドールハウスは、藤山本人の人形に矢が刺さり、“恨”というダイイング・メッセージが残されている殺人現場を表していた。千秋の探偵としての力量を良介から聞いた由井は、千秋に話しを持ちかけ、この謎を解くための探偵団を結成する。

 最後の話が一番好きでした。ドールハウスの謎解きもおもしろかったし、3部作の完結編ということで、良介と千秋の仲にも一応の結末が出されるのだろうと抱いていた大きな期待を裏切らない物語でした。ラストのシーンは本当に印象深く、ずーっと記憶に残りそうです(^^)
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2005年03月07日

Vヴィレッジの殺人

 柴田よしき 著

 私立探偵をやっている“あたし”のところへやってきた依頼人は、行方不明になった息子をVヴィレッジに捜しにいってほしいと言った。そう、こういう依頼はあたしにしかできないものだった。なぜなら、あそこに入るには許可が要るし、第一、まともな人間は好き好んであそこを訪れたりはしない。というのも、そこは吸血鬼のコミュニティであり、あたしはそこの出身だったからだ。かくして里帰りした“あたし”ことメグは依頼人の息子を無事見つけ出すことができるのか?

 村の廟の中でクロス(十字架)を突き刺された遺体が発見された。遺体といっても、吸血鬼の場合は灰になってしまうので、発見されたときにはもう原形をとどめていなかったのだが。廟の入口には墓荒らしを見張る吸血蝙蝠がとまっており、人間は絶対に中に入れない。だが、あれほど大きなクロスを担いでも平気でいられるのは人間だけ(吸血鬼はやはりクロスとにんにくが苦手らしい)。そこで矛盾が生じるのである。

 人間の仕業だとすると密室殺人、ヴァンパイアの仕業だったとすると神業(?)。探偵メグの推理が冴える! ちょっと残念だったのは、ストーリーが短かったこと。シリーズ物のようなので、次のも読んでみたい。


Vヴィレッジの殺人
柴田 よしき著
祥伝社 (2001.11)
通常2-3日以内に発送します。
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2005年01月25日

覆面作家の愛の歌

 北村薫著(角川文庫)

 お嬢様探偵、新妻千秋の推理が冴え渡る〈覆面作家〉シリーズ第2弾。千秋と編集者岡部との掛け合いが絶妙!

・覆面作家のお茶会
  岡部にライバル現われる! といっても、恋のライバルではなく、〈覆面先生〉の編集者としてのライバル。そこに岡部の双子の兄もからんできて、ますますややこしいことに……。今回はそのライバルの静が事件を運んできた。

・覆面作家と溶ける男
  女の子の誘拐事件。静の甥っ子が事件に巻き込まれる。久々にお嬢様の鉄拳が悪を討つ!

・覆面作家の愛の歌
  どこまでも自己中心的で大胆不敵な犯人のトリックにお嬢様探偵が挑む。千秋がこれまでにない危機に陥る! 岡部は千秋を助けられるのか? そしてふたりの仲の進展は……?

 今回も大いに読み応えあり! お嬢様の推理があまりに鋭くてついていきかねるけれど(^^;) これからふたりの仲がどうなっていくのか楽しみ黒ハート
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2005年01月20日

猫は密室でジャンプする

 柴田よしき著(光文社文庫)猫

 正太郎とういう名前の猫が活躍するミステリーの短編連作集。正太郎はミステリー作家ひとみの飼い猫で、親友はサスケという名の関西弁の犬。少々ドジでおっちょこちょいの同居人(ひとみ)と正太郎の距離感がとても心地よい。

 6編のストーリーは、正太郎の視点で書かれたものと人間(ひとみではなく犯人など)の視点で書かれたものが交互に配されている。

・愛するSへの鎮魂歌(ルビ:レクイエム)
  ストーカーの視点で書かれたミステリー。スリルがあっておもしろかった。最後は爆笑?

・正太郎とグルメな午後の事件
  正太郎の視点のストーリー。ひとみは雑誌のグルメ取材で京都にでかけるが、赴く先々に不審なワンボックスカーが現われて……。正太郎とサスケが大活躍!

・光る爪
  嫉妬する女の悲しい犯罪。正太郎の爪が光る!?

・正太郎と花柄死紋の冒険
  猫の手形は花柄だった? ひとみの的外れな推理がなぜか事件の真相へ……。

・ジングルベル
  さびしい女の切ない物語。正太郎はエンジェルだった?

・正太郎と田舎の事件
  田舎の古い蔵で起きた密室殺人。サスケの飼い主おやじさんが活躍する。

 いちばんのお気に入りは……「愛するSへの鎮魂歌」はかなりインパクトがあったけれど、猫好きとしては「正太郎と花柄死紋の冒険」が一押し。猫の習性とか猫らしさが最大限に表現されていてうれしい(^^) 猫好き必読!


猫は密室でジャンプする
柴田 よしき著
光文社 (2004.12)
通常2-3日以内に発送します。
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2005年01月15日

覆面作家は二人いる

 北村薫 著(角川文庫)

 NHKのドラマを見ておもしろいなあと思っていたが、たまたま原作を読む機会を得た。やはり書面で読むと一味違う。透き通るような文章にいっぺんにはまってしまった。

 出版社に送られてきた素人の原稿に興味を抱いた編集者の岡部は、著者の自宅を訪ねて驚いた。大きな屋敷に通され、対面したのは天国的美貌のお嬢様だった! 彼女は本の出版に際し匿名を希望したため、〈覆面作家〉というペンネームがつけられた。

 お嬢様、本名新妻千秋には秘密があった。自宅では対人恐怖症気味のお嬢様。だが、1歩外に出ると、威勢のいい江戸っ子(?)に変身してしまう……「内弁慶」の逆バージョンなのだ。しかも、武道の達人!

 ミステリー作家としてデビューしたお嬢様の特技は武道だけではなかった。凡人には謎だらけの出来事でも、話を聞いただけであっさり謎を解き明かしてしまう。お嬢様の名推理は、物語の中だけでなく実際の事件まで解決してしまうのだ。

 短編連作で3作入っています。題名は次のとおり:

・「覆面作家のクリスマス
・「眠る覆面作家」
・「覆面作家は二人いる」
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2005年01月02日

時計館の殺人

 綾辻行人 著

 超常現象をテーマとした雑誌の編集者江南は、108個の時計コレクションを収蔵しているという時計館を取材することになり、かつて「迷路館」での事件の際に知り合った鹿谷のもとを訪れた。ミステリー作家となっていた鹿谷は、時計館も迷路館と同じく、いわく付きの中村青司の設計によるものと聞き、興味を抱かずにはいられなかった。

 時計館の取材は大掛かりのもので、江南の他に副編集長、カメラマン、霊能者、それにW大学のミステリー(超常現象)研究会の会員5名がその館に3日間閉じこもって、10年前に亡くなった少女の霊を呼び出そうというものだった。というのも、少女の他にもその館に関係のある人間が相次いで亡くなっていたことから、呪われているとうわさされていたからだ。

 時計館という密室の中で、1晩も明けぬうちから次々と人が殺されていくのは、予想していたとはいえ、不気味だった。時計館というからには、時計がトリックに関係してくるだろうことは察しがついたが、最後にすべてがすっきり納まる謎解きには好感が持てた。探偵役の鹿谷のとろーんとした感じのテンポも好み。あと、時計に関する薀蓄や折り紙の話も印象的だった。
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