2006年05月08日

MURDER OF A SWEET OLD LADY

by Denise Swanson from Signet

Aunt Dimity's Death 故郷のスカンブル・リバーで学校のカウンセラーをしているスカイ。母方の祖母が余命わずかと言われ、家族の歴史を聞きに放課後通っていた。ところが、その日祖母の家には家政婦の姿がなく、家の中を探すと、祖母がベッドでなくなっていた。自然死に思われたが、スカイの要望で調べてみると、死因は薬物だった。なぜ、老い先短い祖母が殺されなければならなかったのか? 大好きなお祖母ちゃんを殺した犯人を見つけるため、スカイは脅しにも屈せず、親戚からのブーイングにもめげず、ひたすら真犯人に迫る。

 スカンブル・リバー・ミステリ・シリーズの第2作。前回は弟が容疑者扱いされたため、真犯人探しに奔走したが、今回は動機から考えれば、一族の中に犯人がいる可能性もあり、デリケートな面があった。また、1作目でつきあうことになったボーイフレンドとはギクシャクしだし、逆に反発していた警察署長との距離が縮まったような……。次作の展開が楽しみだるんるん
ニックネーム マリポサ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 原書でミステリ

2006年04月30日

IMMORAL

by Brian Freeman from St. Martin's Minotaur

Aunt Dimity's Death 女子高校生が行方不明になった。ボーイフレンドと家出したのだろうとか、変質者に襲われたのではないかと、いろいろな憶測が飛ぶなか、担当刑事ストライドは相棒のマギーとともに聞き込みをするが、事件の全容はようとしてつかめなかった。だが、少女の遺留品が見つかったのをきっかけに、養父が殺害犯人として逮捕される。状況証拠だけで裁判にかけられたのだが……。

 前半は警察の捜査、中盤は裁判シーン、後半は刑事のプライベートをからめて、と一つの作品のなかで大きくカラーが変わるのは珍しい。裁判シーン終盤からのどんでん返しがおもしろかった。MWA賞処女長篇賞のノミネート作品。
ニックネーム マリポサ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 原書でミステリ

2006年04月07日

AUNT DIMITY'S DEATH

by Nancy Atherton from Penguin Books

Aunt Dimity's Death 二人三脚で生きてきた母をなくし天涯孤独の身となったロリのもとに、「ディミティおばさんの遺産を受け取られたし」という手紙が弁護士事務所から届いた。ロリが驚いたのは、ディミティおばさんが“亡くなった”ことではなく、“生きていた”という事実だった。ロリにとってディミティおばさんは、さまざまなエピソードを知っているごく身近な存在だった。ただし、幼いころ母が寝る前に語ってくれるお話の中だけの架空の人物だと思っていたのだ。

 弁護士事務所を訪れたロリは、イギリスに渡りおばさんの家に滞在するように言われる。その家で、遺言に書かれているお題をクリアしていかなければならないのだ。ところが、おばさんの家に到着した直後から、不思議なことが起こり始める。それはディミティおばさんの霊の仕業なのか……。

 シリーズ第1作。お金に困っているロリのところに、家族のようによく知ってはいるが、まさか実在するとは思ってもいなかった人の遺産を受け取れるという話が舞い込んだ。しかし、それには、遺言に書かれたいくつかの要求にパスしていかなければならなかった。その要求を弁護士のビルとともに遂行していくうちに、おばさんの過去にまつわるミステリを解いていく冒険をすることになる――という、殺人も悪人もいっさい登場しないミステリ。大人のおとぎばなしのような心に優しい物語です(^^)
ニックネーム マリポサ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 原書でミステリ

2006年03月30日

DEALING IN MURDER

 by Elaine Flinn  from Avon Books

Dealing In Murder モリーはニューヨークで夫とともに骨董商を営んでいたが、夫が愛人と結託して贋物を売りさばいていたことが当局にばれ、モリーは逮捕され、夫と愛人は国外へ逃亡した。モリーは、関与していた証拠がなかったために釈放されたが、夫の裏切りに打ちのめされていた。そんなモリーに昔からの知人が手を差し伸べ、遠く離れたカリフォルニアの観光地カーメルでアンティークショップの経営をまかせた。

 ある日、モリーが前日買った机のことで訪れた家の前で、売り主が倒れ掛かり、モリーの腕の中で死んだ。背中を刺されていたのだ。着任したばかりの署長ランドールはモリーに疑いを持ち、彼女の過去を調べる。だが、無実のモリーにとっては、ランドールの尾行よりも、商品を搬入しにくる横柄なパブロや母の知り合いだといって近づいてきたおせっかいなビッツィのほうに頭を悩まされていた。

 モリーのキャラクターがいまいちよくわからなくて、なかなかのれないでいた。単に好みの問題なのかもしれないが。設定としては、元警官で中古家具の店を営んでいた父親や、美しい観光地カーメルという舞台など、ひきつけられるものがある。現在シリーズ第3作まで出ている。
ニックネーム マリポサ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 原書でミステリ

2006年02月28日

AUNT DIMITY AND THE DUKE

by Nancy Atherton

Aunt Dimity and the Duke 失恋の痛手を癒すため、エマはイギリスに渡り、大好きなイングリッシュ・ガーデンめぐりをすることにした。旅の途中で知り合ったユーモラスな双子のおばさまたちに勧められ、ある公爵の屋敷を訪れた。すると、そこの庭造りを頼まれ、魅力的な申し出につい引き受けてしまう。ところが、その屋敷には、庭のチャペルにまつわる伝説や、ロックスターの事故死など、何か怪しげな秘密が隠されているようだった。

 Aunt Dimity シリーズの2冊目だが、内容的には番外編になっている。ディミティおばさまは人々の話の中に出てくるだけで、1作目の主人公ロリも登場しない。だが、1作目で脇役だったエマが主人公となり、ロリの隣人となる前の、夫となる男性との出会いのストーリーとなっている。美しい庭や伝説といった、イギリスの舞台にふさわしい、このシリーズ独特の雰囲気がある。
ニックネーム マリポサ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 原書でミステリ

2005年10月01日

MUM'S THE WORD

by Kate Collins
from Signet

Mum's the Word ロースクールを中退し、婚約者に婚約破棄されたアビーは、ひょんなことから生花店のオーナーとなった。小さくとも一国一城の主と張り切る彼女だったが、殺人犯人らしき人物を目撃してしまったことから事件に巻き込まれてゆく。

 ある朝アビーが出勤すると、店の前で慌てて車に乗って去っていく男を目撃する。後になって近所で殺人事件があったと知り、警官に報告しに行くが、犯人のめぼしはもうついているといわれる。一方、店の従業員で親友でもあるロティーから、支配的な夫に悩んでいるいとこの相談を持ちかけられる。偶然にも、先の殺人事件の被害者はそのいとこの夫の経営する会社の社員だった。アビーはロティーのいとこのために力を尽くしつつ、事件の捜査にも余念がなかった。その上、最近なぜか、まるで嫌がらせのように身に覚えのない駐車違反切符を切られるようになり、問題を目いっぱい抱え込んでしまった。


 フラワーショップ・ミステリーの1作目。赤毛で小柄、そしてバイタリティいっぱいのアビー。職場では二人の友人に支えられ、アパートに帰れば、親友のルームメイトがいる。そんなわけで、女性同士の会話が頻繁に出てくる。恋にファッションに男の子の噂話。そんなどこにでもある風景が、若い女性の共感を呼ぶのかもしれない。

 隣のレストランのオーナー、マルコはセクシーな元警官。アビーの私的な捜査にいろいろと相談にのってくれる。二人で危険な進入捜査にでかけたり、アビーが何度も命を狙われたりするところは、イヴァノヴィッチのプラム・シリーズを思わせた。よく考えればまったく違うのだけれど……スピード感とか主人公が若く生き生きと描かれているところがダブルのだろうか? ステファニーのファンとしては安易に「これ似てる」とは言いたくないのだが……。

 ステファニーと決定的に違うところは、ヒロインの性格だろうか。アビーは人一倍正義感が強い。ステファニーには正義感がないといっているわけではなく、アビーが並外れているという意味。権力や脅しに屈しないで正義を貫こうと決心するアビーはまぶしいほど格好良かった。ステファニーの場合は、肩肘張らずにするりと通り抜けてしまったり、本音で生きている感じがたまらない魅力なのだが。

 アビーの脇役はプラム・シリーズほどあくの濃い人はいない。だが、今後シリーズが進むにつれ、それぞれ活躍していってくれることを期待している。
ニックネーム マリポサ at 00:00 | TrackBack(0) | 原書でミステリ

2005年09月28日

ON WHAT GROUNDS

by Cleo Coyle
from Prime Crime

On What Grounds
 クレアは離婚後、ニュージャージーの田舎に引っ越して一人で娘を育てていたが、その娘も大きくなり、調理師学校に進むためニューヨークへと巣立っていった。折りしも、前の雇い主マダム(元姑でもある)から職場復帰しないかとの誘いがあり、彼女はそれを受けることにした。その職場とは、ニューヨークにある老舗のコーヒーショップ、ヴィレッジ・ブレンドだった。

 雇われ店長となったクレアがある朝出勤すると、瀕死の状態の副店長のアナベルを発見してしまう。初めは単に階段から落ちたのだと思っていたが、しだいに何者かに突き落とされたのではないかという疑いを抱くようになる。犯罪の証拠がないと動けないという警察に代わり、クレアが真実を突き止めようと調べ始める。


 コーヒーハウス・ミステリー・シリーズの1作目。素人が探偵役となり、事件の真相に迫っていくコージーもの。この作品の楽しさは、なんといってもおいしそうなコーヒーの香りが楽しめること(もちろん、本を読んでいたら香りが漂ってくる、なんてことはありませんが)。クレアがコーヒーを入れながら薀蓄を語るところも興味深い。また、店自体のたたずまいも歴史を感じさせるアンティークなものらしく、本当にあるならぜひ訪れてみたいと思うようなコーヒー専門店だ。

 脇役たちもまた魅力的だ。クレアの元夫マットはコーヒー豆の買い付け担当で世界中を飛び回っているが、たまたま、クレアが店の二階に引っ越してきた日に帰国する。“たまたま”といっても、実は二人の復縁をもくろむマダムが意図したことでもあった。このマダムは、最近富豪の夫に先立たれたばかりの未亡人で、とにかく存在感がある。そして、クレアの娘はいまどきの普通の若い女性だが、ボーイフレンドを父親に紹介したことから、彼とマットとの間には険悪な雰囲気が流れる……。マットはハンサムなイタリア系男性だが、娘のボーイフレンドのことであたふたしてしまうところはちょっと三枚目。そんな点もまた好ましかった。

 先ごろ邦訳された「お茶と探偵シリーズ」もお気に入りのシリーズだが、このコーヒー・シリーズもファンになった。
ニックネーム マリポサ at 00:00 | TrackBack(0) | 原書でミステリ

2005年08月28日

CATNAP

by Carole Nelson Douglas
from Forge

Catnap 俺はラスベガスの探偵、ミッドナイト・ルイ。俺の鼻はいつも死体を嗅ぎつけてしまう。今回は、米国小売書店協会の本の見本市が行われている巨大なコンベンションセンターの中で見つけた。だからといって、警察に連絡するわけでもなく、俺は一人のうら若き女性を死体の場所まで誘導したのだ。なぜか? それは俺が人間ではないからだ。実は黒猫なのさ。

 テンプル・バーはフリーで働くPRウーマン。今回は本の見本市のPR担当という大きな仕事を任され、はりきっていた。ところが、ある出版社のペアのマスコット猫がいなくなった。慌ててセンターの中を捜していると、黒い猫が飛び出してきた。迷い込んだ野良猫を追いかけた先で死体を見つけようとは、だれが想像するだろう?

 被害者はある出版社のオーナーで評判のよくない男だった。見本市を成功させるため、テンプルは殺人事件の捜査に、行方不明の猫の捜索にと奔走する。そして、彼女を気に入り、同居することを受け入れたルイは、彼女のためにマスコット猫たちの行方を追う。


 猫好き読者に大人気のミッドナイト・ルイ・シリーズの第1作。ルイは探偵といっても、威勢のいい若猫ではなく、自称、経験をつんだ(中年の?)探偵だそうだ。ラスベガスの街を、裏通りの隅々まで知り尽くしているという(そりゃ、猫だものね)。普段はあるホテルのオーナー夫婦にかわいがられ、ホテルのマスコット猫として給料(食事)をもらっているらしい。が、今回、テンプル嬢と出会ったことで、ルイの中の騎士道精神がうずいたようだ。彼女を守ってあげなければ……と(そんな猫欲しいexclamation×2)。ということで、二人(一人と一匹?)はいっしょに住むことになり、今後のシリーズでは共に事件を解決してゆくことになるのだろう。

 さて、この作品で特異なのは、猫が一人称で語っているところだ。主人公の探偵が一人称で語るのは珍しくないが、でもそれが猫となると……。読み始めたとたん、ハードボイルド探偵猫という設定にクラッときた私だった。だが、やはり全編猫の視点というのは無理があるのだろう。テンプル視点の三人称の語りの部分が挟まれてくる。いや、実際は量的にはこちらのほうが多いのだが。それにしても、主人公猫の一人称語りは斬新かつ魅力的だ。

 それで、ストーリーのほうはどうかというと、殺人事件が起こった割には、それほど恐ろしいという雰囲気はない。犯人は最後のほうまでわからなかったが、ヒントもなかなか出てこないので、ちょっとアンフェアーのような気もした。それよりもこの作品では、書籍の出版業界の裏話みたいなところが楽しめるかもしれない。
ニックネーム マリポサ at 00:00 | TrackBack(0) | 原書でミステリ

2005年08月10日

SET IN STONE

by Robert Goddard
from Corgi

 トニーの妻マリーナが崖から転落死した。妻の死から立ち直れないでいるトニーを、マリーナの妹ルーシーが家に招いた。ルーシーの夫マットはトニーの親友でもあった。ルーシーたちの家は湖の岬に建つ〈アザーウェイズ〉と呼ばれる、円柱形の上に円錐形の屋根が乗った、風変わりな建物だった。トニーはその家に滞在するようになってから奇妙な現象に襲われるようになる。ルーシーとラブシーンをしている幻覚を見たり、過去に〈アザーウェイズ〉に住んでいた、会ったこともない人たちの姿を見たりするのだ。

 そんな気味の悪い家にはやはりいわくがあった。以前の持ち主ジェイムズは、弟との仲を疑って妻を射殺しており、その弟セドリックは国を裏切ったスパイだった。さらに、次の持ち主の娘は結婚直前に自殺しており、その理由もわかっていない。

 ルーシーの友人で、セドリックの元婚約者デイジーの家に下宿している男は、トニーにしきりに接触してきては、ジェイムズの告白書を見つけろとうるさく言ってくる。トニー自身は、マットの留守中にルーシーと許されぬ仲となってしまい、それは奇妙なこの家となにか関係があるのではないかと疑い、家の秘密を探ろうとする。


 いろいろな要素や筋がからむ複雑な物語でした。私にはちょっと難しすぎたかもふらふら ゴースト系のような、そうでないような。ホラーといっても、それほど恐くもないし。オカルトにしてはあっさりしているし。主題はいったい何だったのだろう(^^;) ミステリの部分としては、トニーの妻の死の謎とセドリックのスパイ容疑の部分だけれど……。ミステリとホラーとどちらがメインなのかよくわからない。欲張っていろんな要素を詰め込みすぎたという感じがします。なんとなく不思議な物語だったなーという感想です。


ニックネーム マリポサ at 00:00 | TrackBack(0) | 原書でミステリ

2005年06月30日

A COLD DAY IN PARADISE

by Steve Hamilton
from St.Martin's

 アレックス・マクナイトは、デトロイトで八年間警官をしていたが、ローズという男に相棒を殺され、自分も重傷を負った事件をきっかけに退職し、カナダとの国境近くの小さな町パラダイスに移ってきた。そこで父親が遺してくれた狩猟小屋を管理する傍ら、探偵として弁護士アトリーの調査員をして暮らしていた。

 アトリーの一番の顧客であるエドウィンから真夜中に電話があり、マクナイトが駆けつけると、モーテルの一室でノミ屋が惨殺されていた。エドウィンは負けた金を払いにきたのだという。その後、また別のノミ屋が殺され、連続殺人事件となる。が、そんなとき、マクナイトの小屋のドアに手紙が留められていた。署名はローズ。しかし、ローズは終身刑に服しているはずだった。嫌がおうにも事件に巻き込まれていくマクナイトだったが、やがて、友人でもあったエドウィンが失踪し、湖の岸で血痕つきのボートが発見される。エドウィンの母親には責められ、警察には容疑者扱いされるマクナイトだったが……。


 探偵マクナイト・シリーズの1作目。カナダとの国境近くの冷たい湖のほとりの寒そうな土地。なんだか、しんしんと冷たさが伝わってきた。それと共に、なんともいえない透明感があり、ふと、ハーラン・コーベンの "Tell No One" を思い出した。

 刑務所にいるはずのローズからの脅迫状や脅迫電話がマクナイトを悩まし、ついには家まで襲撃される。得体の知れない犯人というのが恐怖感をあおるが、一方で、どうもこれはローズではないのではないか、という雰囲気もある。最後のどんでん返しはなかなかおもしろかった。ただ、最後で悪者が懲らしめられないという点で、なんとなくすっきりしなかった。だが、シリーズということで、今後、何らかの形で犯人たちが再登場するのではないかと期待している。

 エドガー賞とシェイマス賞の最優秀処女長編賞受賞作。


ニックネーム マリポサ at 00:00 | TrackBack(0) | 原書でミステリ

2005年04月25日

CAT ON THE EDGE

 by Shirley Rousseau Murphy

 灰色の猫ジョー・グレーは、特別な猫だった。なんと、人間のことばが理解でき、しゃべれて、さらに読むこともできるのだ。ジョー自身、そのことに気づいたときは気味の悪い思いをしたし、このことは飼い主のクライドにさえ秘密にしていた。

 ある晩、ジョーはいつもごちそうになっているジョリーの店裏の路地で殺人を目撃してしまった。殺害されたのは、クライドの仕事関係者でジョーもよく知っている人物、殺人者のほうは見たことのない男だ。とそのとき、犯人がジョーの存在に気がつき、たったいま人を殴り殺したスパナでジョーを襲ってきた! 目撃者とはいえ、猫ごときをなぜ始末しようとするのか? まさかジョーの秘密を知っているはずはないのだが……。

 ジョーは辛くも逃げおおせ、家にたどり着くが、あろうことか、犯人が窓からこちらを覗き込んでいるではないか。このままでは、飼い主のクライドにまで危害が及びかねないと思ったジョーは、家を出て犯人の追っ手を逃れようとする。心配しているに違いないクライドを安心させたい一心で、ジョーは薬屋に忍び込んで電話をかけた。「俺だ。ジョーだ。あんたの猫だよ」そういわれても、クライドがすぐに納得できるはずはない。悪い冗談だろうかと思い悩みながらジョーの帰りを待つクライド。果たして、ジョーは事件を無事解決してクライドの元に帰っていけるのか?


 猫が言葉をしゃべったり、女性が猫に変身したりと奇想天外な設定にちょっと面食らった。ファンタジー色が濃いのかと思いきや、ジョーと後に相棒になるダルシーが犯人に追い詰められていくシーンはかなりサスペンスタッチだった。また、猫の習性やしぐさがとてもよく描かれていて、読んだ後、我が家の猫がいっそういとおしく感じられた。ミステリーとしては?だが、シリーズ第1作なので、2作目以降に期待したい。
ニックネーム マリポサ at 00:00 | TrackBack(0) | 原書でミステリ

2005年03月30日

Bahamarama

 by Bob Morris

 ザックは元アメフトのスター選手。引退後は、マイアミ沖でボートサービスを営んでいたが、はからずも客がギャングの一味だったことで事件に巻き込まれ、無実の罪で刑務所行きとなった。2年たって出所した彼を待っていたのは、恋人のバーバラではなく、更なるトラブルだった……。

 釈放の日、迎えにやってきたのはバーバラの使いできたというリムジンに乗った男だった。ところが、途中で置いてきぼりをくらい、とにかく自宅を目指すことに。しかし、我が家に戻ってみれば、例のギャングの一味が待ち伏せていた。預けたものを返せというのだが、ザックには一向に心当たりがない。命からがら何とか逃れて、ザックはバーバラの待つバハマへと向かった。ところが、せっかく恋人のすぐそばまできたというのに、言葉を交わす暇もなく、バーバラは姿を消してしまう。それも、いっしょに仕事をしていた彼女の元フィアンセとともに……。すっかり落ち込んでしまうザックだったが、元フィアンセの死体が上がり、脅迫状が届いたことから彼女が誘拐されたと判明。因縁のギャングの犯行か? ナゾはさらに深まる。

 なぜ無実の罪をかぶることになったのか、なぜギャングたちにつけねらわれるのか、なぜ恋人はいなくなったのか、次から次へとナゾが湧いてくる。結局、恋人は自分の意思でザックの前から姿を消したのではなく、誘拐されたのだとわかり、凶悪な犯罪が明るみに出るのだが、それでも、時間がゆったりと流れていくような感覚がある。それは、バハマ諸島というトロピカルな舞台のせいだ。青い空と白い砂浜、緑のやしの木に青い海、BGMにはレゲエが聞こえてきそうなそんな舞台設定で、せかせかとしていられるはずがない……たぶん。この物語を読んでからというもの、カリビアンな世界に強い憧れを持つようになってしまった。この本のカバーもそんな世界を象徴するようなやしの木の絵なのだが、これは、ザックの父がやしの木を育てて商売をしていたということとつながっているのだと思う。「人生いろいろあるけど、カリブのからっとした陽気な青空に向って伸びるやしの木のようにまっすぐ進んでいこうぜ」というザックの人生をあらわしているような気がする。

 MWA賞の処女長編賞にノミネートされた作品だけあって、とても面白かった。シリーズらしいので、次の作品も期待したい。とくに、ザックの相棒ボギーは、絶滅したといわれているタイノ族の生き残りでシャイアンの血筋を引くかなりユニークな存在なので、注目していきたい。


ニックネーム マリポサ at 00:00 | TrackBack(0) | 原書でミステリ

2005年02月21日

Permed to Death

 by Nancy J. Cohen

 "A Bad Hair Day Mystery" の第1作。

 マーラは数人のスタッフを従えて美容室を経営している。その日は、早朝出勤してひとりでミセス・クラヴィッツの髪をセットしていた。いつものようにコーヒーを出して、その間に資材を確認しに行って戻ってくると、なんと、ミセス・クラヴィッツが死んでいた! 現場検証から、彼女しか使わないパウダークリームの中に毒が仕込まれていたことがわかる。それに、メンテナンスが裏扉に鍵をかけ忘れていったらしいので、外部の人間の犯行とも思われるが、そう思わせるための内部の人間のトリックかもしれない。

 マーラは顧客の死に責任を感じ、犯人を突き止めようと決心する。ミセス・クラヴィッツは資産家だったので、まずは家族からあたってみることにした。被害者の姪ウェンディに話を聞くと、ミセス・クラヴィッツの息子が怪しいという。息子に聞くと、ウェンディの夫が金に困っているという。また、クラヴィッツの死によって会社の権利を手に入れた共同経営者のロイには、会社の金を横領していたとのうわさがあった。その上、ロイを巡ってマーラのスタッフのダーリーンとルシールが争ってもいるようだった……。マーラは気になる刑事ダルトンに疑われつつも、犯人探しにやっきになる。


 表紙の絵から、かなり軽めのコージーかと思いきや、けっこう内容が濃くて満足させてくれた。マーラには罪の意識にさいなまれている辛い過去があったり、信じようとしてくれているダルトン刑事に疑いをかけられてもしかたのないような若き日の過ちがあったりする。そういった、主人公の歩んできた人生が、この物語に厚みを与えていてポイントを高くしている。また、マーラの家族がユダヤ教徒ということで、ユダヤ教用語を知る機会にもなった。ダルトンとの仲の進展やスタッフとの心の交流など、シリーズのこれからが楽しみだ。
ニックネーム マリポサ at 00:00 | TrackBack(0) | 原書でミステリ