2008年02月22日

『ふしぎな動物モオ』

 ホセ・マリア・プラサ 著  坂東俊枝・吉村有理訳

ふしぎな動物モオ 「ぼく、世界じゅうを冒険するんだ」
 モオが生まれた瞬間に思ったのがそれでした。ぐんぐんと成長したモオは、まだ世界のことをなにも知らないのに、おとうさんとおかあさんに、世界を旅すると宣言して家を出ていきました。
 ホームシックになりながらも、いろんな動物と出会い、少しずつ学んでいくモオ。ですが、必ずされる質問があり、モオはその答えがどうしてもわかりませんでした。「きみはいったい、なんていう動物なの?」冒険を終えて家に戻ってきたモオは、自分がなんという動物かをやっと知ることになります。その名はなんと……。

 児童書ですが、「自分はいったい何者なのか」というテーマは、大人心のほうをくすぐるようですかわいい 巻末にはモオの自画像を描くページがあり、想像力豊かな子供たちは大人が考えもつかない絵を描くのだろう――と思いきや、訳者のお話によると、以外に既成概念にとらわれた絵が多かったということでしたふらふら
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2006年03月22日

夏の庭 ― The Friends

 湯本 香樹実 著  ベネッセコーポレーション

夏の庭 ― The Friends 「ぼく」ことのっぽの木山、眼鏡の河辺、太っちょの山下は、中学受験を控えた仲良し3人組。山下が学校を休んだのはおばあさんの葬式のためだったと知り、河辺は興味しんしんで根掘り葉掘り聞き出した。河辺も木山も死んだ人を見たことがなかったのだ。近所のある一人暮らしのおじいさんがもう長くはない、と大人が話していたのを耳にした河辺は、死んだ人を見たいからおじいさんを見張りに行こうと言い出した。

 冒頭部分からは、仲良し4人組の少年たちが死体を捜しに行く、あの『スタンド・バイ・ミー』を連想した。といっても、実はあまりストーリーを知らないのだが(^^;)。こちらのほうは、最初はとっぴでわけのわからない思い付きで始まった3人の行動だったが、結果的にはおじいさんに生きる気概を与えることとなり、次第に心を通わせていくというハートウォーミングなお話。少年たちと老人の心の交流がユーモラスに描かれていく。3人はおじいさんと出会ったことで、ひと夏が終わるころにはひとまわりも、ふたまわりも成長していた。前の『カラフル』と同じく、大人が読んでも感じるところが多々ある物語だ。
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2006年03月18日

カラフル

 森 絵都著  理論社

カラフル 「おめでとうございます、抽選にあたりました!」死んだはずのぼくの魂の前に突然現れた天使が言った。なんでも、本来ならここで輪廻のサイクルからはずされるところなのだが、抽選に当たったので再挑戦ができるというのだ。そうしてぼくは、自殺を図ったある少年の体に宿って生き返り、なくしている前世の記憶を取り戻すというゴールに向かって修行を積むことになった。

 ぼくが体を借りた少年、つまり天使の業界用語でいう「ホームステイ」先は、両親と兄のいる家庭だった。最初は、自殺から生き返ったぼくを気遣ってくれる優しい家族だと思っていたが、実際は、母親はダンス教室の先生と浮気をしているし、父親は悪徳商法で幹部がごっそり逮捕されたお陰で部長になったと喜ぶ自分勝手な人間で、兄は顔を合わすたびに憎まれ口をたたく冷たいやつだった。しかも、初恋の下級生の女の子は援助交際をしているのだった……。

 児童書は大人になってからはほとんど読んだことがなかったが、児童書翻訳講座の先生のお薦め本だったので読んでみた。そうしたら、不倫やら援助交際やら自殺やらが出てきて、これが本当に子供の本なの!?と、ぶっ飛んでしまった爆弾 どうやら、最近の児童書事情は昔とはずいぶん様変わりしているようだ……。

 しかしながら、この本でもやはり、最初は投げやりだった少年が、周囲の人間の思いを知ることによって成長していく様子が描かれている。人を思いやる気持ちに目覚め、家族や友達と心を通い合わせるようになる。テーマはとても重苦しいけれど、冒頭から登場する天使と少年の掛け合いはコミカルだし、文章のタッチも軽い。その中で、少年の心の動きが丁寧に描写されていて、つい引き込まれてしまった。今まで知らなかった新しい世界をのぞいた気がした。
 
ニックネーム マリポサ at 00:00| Comment(2) | TrackBack(1) | ミステリ以外